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2009年1月アーカイブ

拷問の声-カンボジアの買春と人身売買-

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20081231日のニューヨークタイムズに「カンボジア-買春と人身売買-拷問の声」と題された記事が掲載されました。ニコラス・クリストフ氏がシナ・ヴァンという女性について紹介しています。シナ・ヴァンさんが今現在買春宿から少女たちの救出のために勤務しているカンボジアのNGOAFESIPはシーライツのパートナー団体です。シナ・ヴァンさんが現在に至るまでの自身の買春宿での体験やどうやって買春宿から解放されたか、そして現在についてなどについてインタビューを受けた時の記事です。が以下その和訳です。

貧しい国の買春街では、訪れた西洋人の男たちが、10代の笑顔のコケティッシュな女の子達に囲まれ、買春宿に誘われることが多い。男たちは、「女の子達は自ら進んで道に立っている」と思い込んでいる。彼らの思い込みが当たっていることもあるだろう。

しかし、女の子達の笑顔をそのまま受け取ろうとする人は、かつてその笑顔の女の子達の一人だったシナ・ヴァンと一度は話した方がいいだろう。

シナはベトナム人で13歳の時に誘拐されカンボジアに連れてこられ、薬漬けにされた。「目が覚めたとき、血まみれの裸で、白人の男と一緒だった」と彼女は言う。彼女の最初の性を買った白人の男の国籍を彼女は知らない。

その後、彼女は上品なホテルの上階に閉じ込められ、西洋人の男たちや、裕福なカンボジア人に体を提供させられた。「恐ろしいほどに殴られ、笑顔を強制させられた。」と彼女は言う。

「私が最初に覚えたクメール語(カンボジア語)の文章は『あなたと一緒に寝たい』だった。」と彼女は言う。「私が最初に覚えた英語の文章は。」-ここに書くことのできる言葉ではない。

シナが指示に従い、魅力溢れんばかりに男たちに笑顔を見せたのは、男たちが彼女を選ばず、客がつかなかったら、殴られたからだった。しかし、時々彼女は痛みに苦しみ抵抗し、その度に彼女は地下室の拷問室に引きずり込まれ、拷問を受けた。

「多くの買春宿は拷問室がある。」彼女は続ける。「拷問室は地下室にある。女の子達が叫んでも聞こえないから。」

多くの買春宿での拷問方法がそうであるように、拷問方法は電気ショックによるものである。シナは縛り付けられ、水の中に沈められ、その後、220ボルトのコンセントに差し込んだ電線で突き刺された。衝撃が鋭い痛みに変わり、時には尿や便がもれ、意識を失うことさえあった。

このような拷問が買春宿でよく使われているのは、彼女たちの容姿へのダメージがなく、商品価値を失わずに、苦しめることが出来るからである。

殴られたショックの後に、シナは、蟻のたかる木製の棺桶に閉じ込められた。棺桶は暗闇で、窒息しそうで、蟻を掃うために手を顔に動かそうにもそれができないくらい、とてつもなく窮屈だった。彼女の眼から蟻を押し流したのは彼女の涙だった。

彼女は一日中あるいは2日間に渡って棺桶に閉じ込められることも、多々あったという。

警察の摘発によって、シナはようやく解放され、長いこと見ていなかった日中の光に最初はまぶし過ぎて目が開けられないほどだった。家宅捜査は、カンボジア人のソマリー・マムによってなされた。ソマリーも買春宿に売られた経験がある。逃げることに成功し、学び、今では、強制売春廃絶に取り組むNGOの代表を務めている。

解放された後、シナは勉強を始め、徐々にソマリーの信頼できる仕事仲間になった。今では彼らは、買春宿のオーナーからの死の脅しに屈することなく、女の子達を解放するために共に働いている。ソマリーをこらしめるため、買春宿のオーナーは彼女の14歳の娘を誘拐し、残忍な行為をはたらいた。また6ヶ月前には、反人身売買活動家(私がシナを取材したときの通訳)の娘が行方不明になった。

筆者は、買春宿の地下にある拷問室について以前聞いたことがあったが、実際に見たことは一度もなかった。数日前、シナは、彼女が救われた買春宿に連れて行ってくれた。買春宿は撤去され、地面がむき出しになっていた。

「私はこんな感じの部屋に居たの」 指さしながら彼女は言った。「この部屋で亡くなった女の子達は沢山いると思う。」さらに加えて、「寒気がするし怖い。今晩寝られない」

「早く写真撮って」彼女は加えて、道に並ぶ買春宿を指さしながら言った。「ここに長居するのは危険だわ」

シナとソマリーは、冗談のツボを心得ており、お互いにからかい合っていた。未婚のシナは、ソマリー本人に向かっていった。「少なくともあなたが助けに来るまでは十分すぎるほどの男がいたんだから!」

性産業における人身売買は21世紀版の奴隷である。19世紀の奴隷との違いの一つは、彼女ら現代の奴隷の多くは、今世紀後半にはエイズによって亡くなることだ。

性産業における人身売買について私が報告する時はいつでも、女性たちが受けた苦しみに絶望するよりも、むしろソマリーやシナのような活動家の勇気に励まされる。彼女らは、未だ買春宿に囚われている他の女の子達の救助のために、自分たちの命へのリスクを背負っている。次回の記事では、買春宿で想像を絶するような拷問を受けて、現在シナがその回復を手伝っている女の子について紹介したい。シナ自身の経験は、その少女にとって、どんな心理学者にもできないようなやり方で希望を与えることができている。

(和訳以上)

買春宿から少女たちの救出のためにシナとソマリーが仕事をしているのは、カンボジアのNGOAFESIPという団体です。AFESIPはシーライツのパートナー団体でもあり、シーライツは、AFESIPによって運営されている人身売買被害女性保護施設における保育支援をしています。この保護施設には子ども連れの女性が多く保護されており、女性たちが、職業訓練に集中するため、また女性たちの子どもの発育などの子どもの権利のために、保育施設を設け、保育士の給料や子どものオムツ・ミルク代などの支援をしています。

シーライツのAFESIP保護施設への保育支援が継続されるよう、皆様のお力添え頂けましたら幸いです。

シーライツ あなたにできること:http://www.c-rights.org/join/kaiin.html 

シーライツ ホームページ:http://www.c-rights.org/

 

 

「ソンペアッ・プトゥン」

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DSCF1736.JPG中学2年生、国語の教科書に載っている、カンボジアの結婚式にある「ソンペアッ・プトゥン」という儀式の由来についてのお話。以下、要約を読んで、ジェンダーの視点から分析してみましょう。

 

昔、孤児の男の子が4人で森を歩いていると、オッチャーに出会いました。このオッチャー*は、4人にそれぞれ秘術を教えました。1人目は泳ぐ術、2人目は弓道、3人目は死人を生き返らせる術、4人目は将来を占う術。4人はそれぞれの技術を習得して大人になり、オッチャーにお別れを言って、妻を探しに森を出ました。歩いていると、海に出ましたが、既に夜になってしましました。占いが出来る男は「明日何が起こるか占ってみて」と他の3人から頼まれて占ったところ、「明日大きなわしが国王の娘を運んでくる」とのことです。翌日になると、実際にわしが海の向こうの方から現れ、若い娘を運んでいます。弓道の出来る男は、早速わしを打ち落としましたが、娘も海の真ん中に落ちてしまいました。そこで、泳げる男が遠くまで海を渡り、娘を陸まで運んできました。でも残念ながら既に息絶えていたので、死人を生き返らせる術を習得した男が娘を蘇生しました。

4人全員が、生き返った娘と結婚したいと主張しました。議論に決着がつかないので、裁判官に判断してもらう事にしたところ、裁判官は次のように決定しました。蘇生できる男は娘の(①)に、占いが出来る男は娘の(②)に、泳げる男は娘の(③)に、弓道の出来る男は娘の(④)になるように。

男たちは裁判官の決定に合意する際に、この決定が将来も守られるよう裁判官にお願いしましたので、この「ソンペアッ・プトゥン」という儀式が始まりました。

 

1.( )の中に「父」「母」「兄弟姉妹」「夫」を入れてみましょう。どういう理由で夫が決められたかも考えてください。

2.ジェンダーの視点から分析すると、このお話には問題があります。例えば?

(正解は、最後)

 

*オッチャーとは、魔術師の事で、悪いことを企んでいる子ども、言う事を聞かない子どもに、「オッチャーの所に連れて行くよ」と言うと大抵の場合効果がある。

 

私がこれを読んでいて、まず、なぜ何の為に、この4人の男の子は森を歩いていたのか、そして彼らは孤児でなくてはならないのか、と疑問に感じました。また4人が国王の娘と結婚をしたいと主張し決着が着かなくなったとき、裁判にかける前に、国王の娘の意見は聞かないのか、とも疑問に感じました。「意思表明権」の侵害です!ネガティブなことばかり書きましたが、中学生の時、教科書に書かれた話を、今回のように違う視点から見たらもっと面白く読めたのになぁと思いました。ちなみに、私の答えは①母(蘇生=世話をする、看病をする=母というイメージからです) ②父(将来を見る=自分の子どもの道筋を正す=父というイメージからです) ③夫(泳いで助ける=守ってくれる存在=夫というイメージからです) ④兄弟(弓道=一つのものを狙い撃ちする、おやつの取り合い=兄弟というイメージからです)でした。

 

正解1.①母 ②父 ③夫 ④兄弟

正解2.国王の娘(女性)は決定権を持っていない。その他「これは問題だ!」と思われること、皆さんはありますか?

 

中川香須美さん:カンボジア国ジェンダー政策立案・制度強化支援計画プロジェクト

http://project.jica.go.jp/cambodia/0211055E0/index.html

カンボジアの教科書から見るジェンダー

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kasumisan先日、カンボジア女性省に派遣されているジェンダー専門家の中川香須美さんから、「カンボジアの教科書からみるジェンダー」と題するお話を聞く機会がありました。ENJJという、日本大使館・JICAJBACNGOとの連携で開催している「教育分科会・人権分科会有志の会」という集まりでの勉強会でした。カンボジアの教科書にもジェンダーにも興味のある私は、期待をしていましたが、期待を裏切らない、期待を上回る貴重な時間でした。また、好きだったのは、聴講者参加型であったという事です。「ジェンダーとはなんですか?はい、シーライツの桜ちゃん」とさされた時には、ドキリとしましたが、発言をすることで、自分が分かっているのか分かっていないのかはっきりさせることが出来ました。

 

中川さんのお話は①ジェンダーって? ②ジェンダーと人権 ③カンボジアの教科書におけるジェンダーの3つから構成されていました。

 

まずは、ジェンダーとは何か。大事なのは、「ジェンダーは分かる」ものではなく、「気づくもの」であるという点です。わたしたちの社会を見る視点のひとつとして、男と女が同じ人間なのに同じように生活できないような社会的な構図を分析する時に役立つのがジェンダーの視点(「気づき」)です。社会に女性に対する差別というゆがみがあることを理解し、それを改革していこうという時に基礎となるのが「ジェンダーへの気づき」なのです。至るところで使用されるようになってきたジェンダーという用語は広い意味を持っていて、簡単には説明できません。一般的には、社会的な性差や性役割規範・社会的に作られた「女らしさ」「男らしさ」を意味します。ところが、カンボジアで「ジェンダー」という言葉を口にすると、意味するところは「妻・女性」という場合が多いそうです。プノンペンなど都市部では、ジェンダー=男女平等として使われることも多々そうです。

 

中川さんのお話は、ジェンダーと人権に移ります。ジェンダーと人権問題は紙一重です。「男だから泣くな」「女は飲みに行くな」という概念について、泣きたい時や飲みに行きたい時は、男や女に関わらずあります。「男らしさ=男は泣いてはいけないもの」「女らしさ=お酒を飲んではいけないもの」という社会的固定概念から外れた人、あるいは、同じ固定概念をもっていない人も、世の中にはいます。でも、その社会的固定概念から外れた人というのは、社会的制裁を受ける事があります。例えばカンボジアでは、レイプされた女性は、女らしさを失った女性として扱われ、結婚が困難になるというのがその端的な例です。

 

社会的制裁を受けないために「女らしさ」「男らしさ」=「ふるまうべき姿」を教え込まれます。「ふるまうべき姿」を教え込まれることによって、「自分のやりたい事」「自分らしさ」が追求できずに、人権問題につながることがあり、ジェンダーと人権は関係しているのです。

 

カンボジアにおけるジェンダー(性役割規範)とはなにか、

「女らしさ」<社会> しとやか、従順、奥ゆかしさ、貞操、

            <家庭> 両親・夫に従う、家事・家計の切り盛り、

「男らしさ」<社会> 指導者、強い体力、女性を守る、             

            <家庭> 家長、仕事をして家族を支える、妻・娘を支え

これがカンボジアにおけるジェンダーです。一昔前の日本のようだと感じるのは私だけでしょうか?

 

以上のような、ジェンダーが、カンボジアではどのように作られるのか、それは、両親や教員などの周囲にいる大人、テレビや雑誌といったメディアの力によるものだそうです。またカンボジアには「女性の法(チュバップ・スレイ)」「男性の法(チュバップ・プロ)」という「女性・男性としての振る舞い方」が書かれている行動規範があり、小学校で教えられているそうです。子どもが多くの時間を過ごす学校教育はジェンダー形成に大きなインパクトを持っていると言えます。というのも、幼い頃に叩き込まれた考え方・振る舞い方を変えるのは困難です。自然と「ふるまうべき姿」に縛られてしまうのです。

 

カンボジアの教科書、中川さんが用いたのは、小中学校の国語と社会科の教科書です。

以下のようなイラストを想像してみてください。

まずは女性像についてです。

    小学1年生、社会科の教科書:トイレを使用するのは男の子、掃除するのは女の子

    小学2年生、社会科の教科書:両親の手伝いをする女の子

    中学2年生、社会科の教科書:洋服の整頓についてのイラスト

        洗濯(女性)→整理整頓(女性)→着用(男性)

教科書に掲載されているイラストで掃除洗濯をしている様子は圧倒的に女性か少女が多いのです。洗濯・整理整頓は女性がするものだという概念が無意識のうちに固定化されます。

    小学5年生、国語の教科書にはまた、以下のような夫婦の会話が掲載されています。

夫「何をすれば、はやくお金が儲かるかな」

妻「もしあなたがやりたいと思うなら、商売でも織物でも、何でも私を使

    ってください。言われた通りにします。反論しません」

こういう文章を読むことによって、子どもたちの中に「妻は夫に従うものだ」という意識が植え付けられます。

 

次に男性像についてです。

    小学1年生、社会科の教科書:危険な遊びをしないようにしましょう

木登り等をして遊んでいる子どものイラストはすべて男の子が描かれています。

    小学4年生、国語の教科書:学校での体育と遊び

運動する子どものイラストはすべて男の子です。

    小学3年生、社会科の教科書:助け合いについて

友達を助けている子どものイラストは男の子です。

    小学2年生、社会科の教科書:友情と手伝い「優秀な生徒は他の生徒の勉強の手伝いをしましょう」

このイラストの中で、優秀な生徒として勉強を教えているのは男の子です。

 

このように「男の子らしさ」「女の子らしさ」が描かれているという問題がある一方、ジェンダーステレオタイプを改善する試みもされています。

中学1年生、社会科の教科書です。

チョンバー「みんなが一生懸命勉強したら、モデルクラスになれると思

            う」

ビボル(男子生徒)「教室をきれいにするべき。掃除は女子の仕事だか

                    ら、女子にやってらおう」

ボパー「絵とか写真を飾って教室内をきれいにしよう」

ティアリー「どの意見もいいけれど、掃除については、全員に同じように

            義務があると思う。男子だって女子と同じように掃除が出来

            るんだから、区別するのはおかしいと思う」

級長「もちろん!モデルクラスになるには色々な要因が必要だと思う。一部の生徒に義務があるのではなくて、みんなで義務を負担しなきゃ!」

ティアリーに拍手です。

 

中川香須美さん:カンボジア国ジェンダー政策立案・制度強化支援計画プロジェクト

http://project.jica.go.jp/cambodia/0211055E0/index.html

 


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