米国務省による人身売買報告書(カンボジア2005年)

カンボジア(ランク3)
カンボジアは、性的搾取や強制労働を目的とした男性、女性、子どもの人身売買の送り出し国であり、受入国であり、通過地でもある。膨大な数のカンボジア人女性が、労働的、性的搾取のためタイやマレーシアへと売られていっている。カンボジア人男性は主として建設と農業の分野、特に漁業における労働搾取のためタイへと売られる。カンボジアの子ども達は物乞いとして働くためベトナムやタイに売られる。カンボジアは買春のためベトナムから人身売買される女性の通過地であり目的地でもある。
カンボジア政府は、人身売買撲滅のための最低限の基準も充分には満たしておらず、満たそうと多大な努力をしている。カンボジアは過酷な形態の人身売買との闘い、特に人身売買業者や人身売買に関っている公務員に法の裁きを下すこと、における進歩のなさから、ランク3に位置づけられている。
昨年、カンボジア政府は人身売買犠牲者のためのNGOのシェルターの襲撃に責任ある人々が説明責任を果たし、法の下に裁かれることを確実にするために、有効な行動を取ることができなかった。このカンボジア政府の失態で、カンボジアの人身売買との闘いへの取組みに疑問符が打たれた。構造的な汚職と司法の機能不全が、カンボジアの反人身売買の努力をいまだに阻害している。
政府は人身売買業者と、人身売買に関ったことが明るみに出た公務員を訴追し有罪とするため、強固な方策を取るべきであり、また人身売買業者の訴追を妨げている司法制度内の腐敗と対決すべきである。
【訴追】
このレポートの対象期間中、カンボジア政府の反人身売買法の執行努力には、なんらの大きな進歩が見られなかった。逮捕数は若干増えたものの、人身売買の容疑者のかなりが不起訴とされた。あるNGOの人身売買被害者のためのシェルターへの襲撃と人身売買の被害者と見られる人々の連れ去りという事件に対するカンボジア政府の対応は満足のゆくものではなかった。それどころか、政府は襲撃の責めを負うべき人々を充分に調査し、責任を取らせることをしなかった。
カンボジアには包括的な反人身売買法がなく、人身売買業者を訴追するのに現行法に則っている。商業的性的搾取のための人身売買に対する罰には最高20年の懲役刑がある。法執行機関と司法官に人身売買業者を捕らえて訴追するより強大な力を与えると目される反人身売買法案を、下院は審議していない。
2004年カンボジア警察の報告によれば165人が逮捕されているが、訴追されたのはわずか24名である。逮捕の 数に関らず、人身売買業者の実際の有罪確定例は少ない。人身売買関連の事件についての懲役の長さに関する情報は入手不可能である。構造的な腐敗と脆弱な司法機関が、人身売買業者の効果的な訴追に対する最も深刻な障害であり続けている。伝え聞くところでは、政府高官やその家族が人身売買に関っている、もしくはそこから利益を得ているということだが、人身売買関連での腐敗した公務員の訴追の例は無い。
【保護】
カンボジア政府は被害者保護プログラムに則ってNGOや国際機関に被害者を送り込むことを続けた。社会問題、退役軍人及び青年更正省は被害者のための一時避難所を2つ運営しているが、政府は被害者に避難所を提供することに関して主に外国や国内のNGOに頼っている。カンボジア政府はまた、被害者に長期滞在用の避難所を提供するあるNGOを支援した。カンボジアにおける被害者は、犯罪者として扱われることはなく、人身売買業者に対する法的アクションを要求できるが、実際に要求する者は稀である。
【予防】
政府は、数多くのNGOや国際機関と協力し、人身売買に関する意識啓発の努力を継続した。女性省は、キーとなる州での草の根のミーティングを含め、情報キャンペーンの実施を継続した。女性省は、IOMと協働し、郡レベルでの政府役人とのミーティングや教材やビデオの配布を含む反人身売買のための情報と啓発全国キャンペーンを拡大した。このレポートの対象期間中、反人身売買警察隊は、高校生に人身売買の危険を警告する特別プログラムを実施した。観光省は年少者との性行為に対する処罰を旅行者に警告するパンフレットや広告を製作し、そしてホテル従業員等のサービス業者に対して、子どもの人身売買、または性的搾取のケースを識別し、介入する方法についてのワークショップを行った。
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