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子どもが子どもでいられる社会の作り方 ~PIECES活動説明会~

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2021年04月16日

 

【概要】

主催:認定NPO法人PIECES

日時:3月9日 20:00-21:00

会場:オンライン

参加者:26名

内容:PIECES代表理事 小澤いぶき様による

・PIECESのこれまでの活動やそこで生まれたストーリー

・現場で活動に取り組んで感じたこと

・これからのPIECESの展望

 

《小澤いぶきさんのお話を聞いて》

認定NPO法人PIECES代表理事小澤伊吹さんは精神科医を経て、

複数の病院で勤務されています。

 

子どもの頃から、

「どうして紛争は起こってしまうの?」

「どうして人間は暴力で傷つけあうの?」と感じていたそうです。

 

そして大人になり、医者になってから改めて、

日本にも危険と隣り合わせで生きている子どもたちの存在を知ったそうです。

 

そんな子どもたちと関わり合う中で小澤さんにとって、

印象的だった出来事がありました。

それは、ある子どもが

「大人は、子どもの話を聞かないじゃないか。」

と言っていたことです。

 

小澤さんはこの経験から、

子どもにとって大人は、信用できない存在であるということ、

また、子どもたちのサポート体制が整っていないと感じたそうです。

そして社会のしわ寄せが、子どもたちに来ていると仰っていました。

 

また、心の孤立は突発的に起きるものではなく、

様々な孤立を感じる経験が蓄積し、子どもたちは心を閉ざしてしまう傾向にあるそうです。特に子どもたちの心のストレスへの引き金となるのは、

 

・ストレス

・いじめ

・虐待

・身近な人の死

・紛争

 

が原因だそうです。

 

小澤さんのお話によると、

人に頼るという行為は、一見受動的に思えますが

実は大変主体的な行為なのです。

 

【人に頼るための3 step】

  1. 自分の現状を問題だと認識する
  2. 相談したい相手が思い浮かぶ
  3. 実際に相談しに行く

 

人は誰かに頼るために、

これら3つのハードルを気づかないうちに超えているそうです。

 

実際に人間は、

本当に困っている時は、「何に困っているのか」が分からないそうです。

そして人に頼るのが大変難しく感じるそうです。

 

そうなる前に対処する必要があります。

 

そこでPIECES様が大切にしている価値観を2つ紹介させていただきます。

 

一つ目は「優しい間(やさしいま)」です。

優しい間とは、頼り頼られる関係、心が孤立しにくい関係をいいます。

言い換えると、「心理的安全性が担保されている状態」です。

 

相手の事を尊重することがモットーになっている価値観です、

 

また、大切にされている価値観の2つ目は、

「市民性の醸成」です。

「市民性の醸成」とは、誰かのせいでなく、一人一人が動き続けるよう状態。

そして、子どもにとって本当によい関わりを生むための行動です。

自分の事も大切にしながら、相手もワクワクすることをしよう。

といった価値観です。

 

これらの価値観を踏まえて
PIECES様の取り組みとして、

Citizenship for childrenプログラムを開催し、

人と関わることに大切な事を学ぶことが出来る機会を提供したそうです、

 

子どもと関わったうえで、

「それは本当に子どもにとって良い関わりだったのか」

「自分の経験上での偏見をおしつけていないか?自分の価値観を押し付けていないか?」

という、自分の価値観を知るきっかけ作りの場を作ったと教えていただきました。

 

「人との関わりには正解がない」事を受け止め、

参加者同士でエンパワメントしあえる環境づくりが大切だと気づかされた活動でした。。

 

また、地域横断型プログラムをオンライン等でも開催し、

楽しみながら活動できるイベントを開催されているそうです。

 

そんな子どもたちの視点に立った活動を続けていく中で、

ある少女から、

「はじめてこんなにお話を聞いてくれる人に出会った」という声を受け取ったそうです。

 

“子どもたちの些細な声、反応をキャッチして「居心地の良い環境」を作る事、

子どもたちとの向き合い方を根本から考えている素敵な活動に、

大変感動致しました。

《危機の時の子どもや自分との向き合い方》

「子どものためになる事をしたい。」と思うみなさんに向けて、

PIECESの小澤さんが、このコロナ禍で必要なマインドセットを教えてくださりました。

 

「疲れたな・・・」に目を向けよう。

これは自分の心の疲れのサインです。

 

例えば、

 

・“いつもと違う子どもの行動”や“普段は気にならない失敗”などに対して、
「自分が悪かったのではないか?」と、相手・自分にイライラしてしまう。

・わけもなく泣きたくなる。
・家族や友人との会話が億劫になる。

 

このようなことが皆さんの日常にもあるかもしれません。

このような時は、自分を責めず、

「疲れのサインが出せるのも自分のちから」と、

自分を認めてあげることが大切だと、小澤さんは仰っていました。

では、このような“疲れのサイン”を癒すためにはどうしたらいいか?

その方法も、

小澤さんから教えていただきました。

 

このようなネガティブなマインドを癒す解決方法

  • 深呼吸
  • お風呂に入る
  • 環境の変化が多いときは、変わらないリズム(生活リズムなど)が大事。
    ➡お子様がいる方は難しいですが、『同じ時間にこれをやる』といったルーティン作業が心のゆとりに繋がることもある。
  • ノートに自分が出来たことを書き出す。
    ➡日常の小さな成功体験を記す(いつもより早く起きれたなど)ことで、
    “出来ていること”に目を向けることが大事。
  • 毎日一人で一息つく。
    ➡中には「トイレの時間だけが一人の時間」という方もいますが、出来るだけ一人の時間をとる事が大事で
  • 精神的に“しんどい”と感じる前に、書き出す・誰かに話す。

 

上記の“心を癒す作業”が難しいと感じる時は、頑張りすぎている証拠

保健センターに相談してみることも大切

 

また、子ども達の精神状態にしんどさに気づくには、

子どもたちの“からだ”や“行動”に注目

<例>
・いつもよりはしゃいでいる

・いじめられるようになった

 

といったいつもと違う面を見抜くことで、子どもたちを“辛い”要因を知ることが出来る。

 

コロナのような危機は、今に限らず世界中でたくさん発生しているそうです。

特に紛争地域で人々はどのように、

緊急事態に対応しているのかを教えてくださりました。

 

=危機の時に関わる子どもや自分のストレスコーピングを知っておく=

このコロナのような“日常・当たり前”がなかなか元通りにならないときに、

私たちは、私たちのなかにある「強さ」・「回復する力」に目を向ける必要があると、教えていただきました。

《BASIC Ph》

「BASIC Ph」とは、回復するために必要な6つのストレスコーピング(対処)の頭文字をとったものです。その6つとは、“信念”・“感情”・“社会”・“創造/想像”・“認知”・“身体”です。
Bbelief➡信念、宗教などで「自分は大丈夫」と信じて対処
A
:affect➡感情(喜怒哀楽を放出して対処)
S
:social➡人との繋がりで自分の存在価値を高める。
I
:imagination➡ 漫画・絵を描く、空想するしてストレス軽減

C:cognitive➡情報収集して何が起きているか把握して計画を立て状況を乗り越える。
Ph
:physical➡運動など自分のからだを使って癒す(長期的だとなお良い。)

 

 

全員が、一瞬一瞬を生き延びるために、

このようなさまざまな対処をして生きていると学びました。

 

危機の時に「いつも使えるものが使えない」のは、

心身共に疲れているサインだそうです。

 

“子どもたちを助けようと行動を起こされている方、疲れている方も、

今一度、“自分のこころ”と向き合うことが大切だと学びました。

自分が心身ともに健康でいるからこそ、

子どもたちへ説得力を持って支援・子育てをすることが出来ると気づかされました。

 

自分のポジティブなマインドや元気、心身の健康状態は、

周囲の人々にも大きく影響を与えます。

 

みなさんもこの機会に自分の行動・心を見つめて

自分も周囲の人々もケアしてみませんか?

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。