お知らせ

第1回チャイルドライツカフェ「コロナ×SDGs×子どもの権利」開催しました

お知らせ

2020年11月23日

 

みなさん、こんにちは。シーライツインターンの北村です。

今回は、10月31日に行われた、第1回チャイルライツ・カフェ「コロナ×SDGs×子どもの権利」のイベントの内容に関して、ご紹介いたします。

 

 

チャイルドライツカフェとは、、シーライツの代表理事甲斐田万智子と様々な登壇者により「子どもの権利」に関連する様々なテーマについて発信するオンラインイベントです。

 

まずは、シーライツ副代表理事である岡島克樹から注目されているSDGs(Sustainable Development Goals)と人権がどのようにかかわっているのかをお話しいただきました。

 

 

書店にはSDGsに関する本が並んでいたり、主要新聞では3日に2本というハイペースで掲載されていたりと、私たちの目に触れる機会が格段に多くなっているSDGsという言葉ですが、岡島はこんなことを危惧しているそうです。こんなにも情報があるにもかかわらず、SDGsを誤解していたり、ある一部の情報のみが広まったりしているということです。大きく3つに分けて、危惧されている内容について講演していただきました。

 

1つめは、個人ベースに関してです。SDGsは、個人だけでなく、政府や企業・地域とのつながりから、普段の生活を持続可能なものにしていくことを目指していますが、個人が行動を変えることが強調されていることが多いそうです。もちろん一人一人が今・これからの地球の未来を考えて、普段の生活が地球の中の別の国や地域に住んでいる人に大きな影響を及ぼしていないかを考え、行動をできるだけ改善することは必要不可欠ですが、個人だけでは、限界があります。もっと大きな規模で活動しているまたはそれを監督しているひとたちも頑張る必要があるのです。

 

2つめは、経済ベースに関してです。SDGsには17の目標があることは多くの方がご存知だと思いますが、それを分類すると、環境・経済・人権というカテゴリーから構成されています。しかし、世に出回っている情報には、経済の部分を重要視しているようです。SDGsは新しいビジネスチャンスであると書かれていますが、そんなことはありません。SDGsは国連で採択された2030アジェンダの一部の集まりですが、すべて誰もが一番優先して考えなくてはいけません。これから経済活動をするうえで、スタンダードとなるものです。一時的なトレンドではありません。日本の企業は、環境や人権を軽視してきたため、ビジネスチャンスと書くことで、政府が企業に重い腰を上げさせたいのかもしれません。

 

3つめは、人権ベースに関してです。岡島は人権がSDGsを語るうえで一番重要なことであると主張する一方、SDGsと人権の関係を解説する書籍はほとんどないそうです。なぜ人権を重要視しているのか。理由は2つです。1つは、学術上の理由です。90年代より前は、所得をあげることで、人々が抱える問題を解決しようと試みました。90年代に入ると人権問題を解決するために開発を行おうという考えに変わりました。そして、2000年代には人権基盤型アプローチ(ライツ・ベース・アプローチ:人々が抱えている問題を権利侵害が起きているとみなします。そして、権利侵害を解決するために、それを担う方も巻き込んで権利侵害をなくそうという考え方です)が主流となってきました。2つ目は、政治上の理由です。世界で人権は非常に重要だという建前が崩れてきています。再度、人権は人間に必要不可欠だと認識しないという危機感があります。以上のことからSDGsに人権の要素を盛り込みまれたのです。人権のことを扱わず、SDGsの話をするのは、SDGsの根幹を理解していないのも同然という話でした。

 

それでは、どうすると日本社会でSDGsに人権が重要だと浸透させればいいのでしょうか。岡島は3つ提案しておりました。1つめは、1人1人が先ほどの話を多くの方に伝えることです。知っている人が増えれば、上がる声も増える可能性があります。2つめは、子どもの権利委員会から日本政府への勧告をメディアが報じることです。これはメディア次第ではありますが、私たちが求めることは可能です。最後は、地球市民として、日本政府がSDGsをどのように国内で活用していくか注視することです。不十分や未実施の分野に対して、日本政府にSDGsに考慮するよう声をあげる・選挙で市民の意見を反映させる。以上の3つが明日からできることとして紹介され、岡島の講演は終了となりました。

 

 

つづいて、シーライツ代表理事甲斐田万智子より、子どもの権利と新型コロナウイルスがどのように密接に絡み合っているかについて、お話しいただきました。

 

まずは、家庭での母親についてです。緊急事態宣言により学校を臨時休校になったり、テレワークが推進されたことにより父親の在宅時間が増加しました。母親は、食事を作る回数や家で静かにさせるために、母親が一層家事・育児が1日に占める時間が増えました。場合によっては、子どもと過ごす時間が増え、母親自身も新型コロナウイルスによるストレスから、子どもに虐待をしてしまうケースが後を絶たないようです。元々日本は、性別役割分業が根強く残っており、ワンオペや女性の権利を軽視が存在していました。それが、新型コロナウイルスにより、しっかり世に現れたということです。

 

次は、外国にルーツをもつ子どもたちについてです。既に、彼らが日本語教育を十分に受けられないという現状はありましたが、それが一層新型コロナウイルスで加速しました。授業についていきにくなったり(専属の先生が横につけないことが理由です)、同じ悩みを抱える仲間と会いにくくなったりしました。社会的に孤立する子どもは増加の一途をたどっています。

 

続いて、LGBTQといった性的マイノリティーの子どもたちです。国内には、性的マイノリティの子どもたちが安心して楽しく過ごせる場所があり、コロナ前はなんなく通っていました。しかし、コロナウイルスが流行すると、彼らにとっては数少ない居場所に行けなかったり、行けるようになったとしても、万が一新型コロナウイルスに感染したことによりSOGI(Sexual Orientation and Gender Identity:誰が好きであるかという性的指向と自分は何者であるかという性自認 ※どの性でもないという場合もあります)が周りの方に思いかけず知られてしまうことが不安であり、せっかくの居場所に行けないという現状があります。

背景には、親を含めLGBTQに対する理解が圧倒的に少ないことがあるようです。

 

最後に、性暴力を受ける子どもたちです。学校の臨時休校により、家で彼氏や彼女と過ごすことが多くなり(一方親は仕事のため家にいないことも多い)、望まない性行為による妊娠が多くなっているそうです。また、オンライン活動が活発になることにより、自撮り被害に遭う子もいます。さらには、アダルトビデオに相手の裸写真を売る方もいるようです。これらの原因として、再三いわれてきていることですが、性教育が学校で行われていないことがあります。完全にとは言わなくても権利侵害に遭う子どもを減らすことにはつながります。

 

一方、シーライツのもう一つの活動場所であるカンボジアの状況も共有していただきました。最近はやっと学校が再開している。学校以外での英語教室やコンピューター教室は大盛況のようです。しかし、コンピューターの数が少ないことが悩みの種だそうです。また、親に対しては、食料のサポートをして、生活が続くようにしています。

 

まとめとして、甲斐田は、子どもの権利条約を使って、自分の権利侵害を訴えて、子どもが本来持つ能力や力を発揮できていないことと、緊急事態でも、子どもの声に耳を傾けなければならない。この2つがおこなわれていないことが問題あると伝えてくださいました。

 

 

最後に、私からこのイベントに参加しての感想を述べたいと思います。人権侵害という問題は、やらなければならないことや解決を求める相手が大きいから個人で何ができるのといわれることがあります。事実を知れば知るほど個人の無力感にさいなまれることは私もあります。確かに私たちは出口の見えないトンネルでさまよっています。自分の行動がどう影響を及ぼすかわからないし、他人がどれだけ協力するかわからない状態です。それでは、自分ができる範囲で行えばいいのではないでしょうか。必ずしもお金を寄付したり、何かイノベーションを起こしたりすることを求めようとしない。このようなイベントに参加するだけでも十分意義があります。それぞれが無理せず長く続けられる方法を考え行動する。自分には無理そうな場合は、代わりにやってくれる人に託す(それを実行し、続けることを求めることはしないといけません)。当たり前を当たり前に行う。地球がこの先も存在し続ける解決策は、意外と簡単かもしれません。

 

 

※今回はオンラインで開催したため、写真の掲載はございません。予めご了承ください。

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。

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第1回チャイルドライツカフェ「コロナ×SDGs×子どもの権利」開催しました

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2020年11月23日

 

みなさん、こんにちは。シーライツインターンの北村です。

今回は、10月31日に行われた、第1回チャイルライツ・カフェ「コロナ×SDGs×子どもの権利」のイベントの内容に関して、ご紹介いたします。

 

 

チャイルドライツカフェとは、、シーライツの代表理事甲斐田万智子と様々な登壇者により「子どもの権利」に関連する様々なテーマについて発信するオンラインイベントです。

 

まずは、シーライツ副代表理事である岡島克樹から注目されているSDGs(Sustainable Development Goals)と人権がどのようにかかわっているのかをお話しいただきました。

 

 

書店にはSDGsに関する本が並んでいたり、主要新聞では3日に2本というハイペースで掲載されていたりと、私たちの目に触れる機会が格段に多くなっているSDGsという言葉ですが、岡島はこんなことを危惧しているそうです。こんなにも情報があるにもかかわらず、SDGsを誤解していたり、ある一部の情報のみが広まったりしているということです。大きく3つに分けて、危惧されている内容について講演していただきました。

 

1つめは、個人ベースに関してです。SDGsは、個人だけでなく、政府や企業・地域とのつながりから、普段の生活を持続可能なものにしていくことを目指していますが、個人が行動を変えることが強調されていることが多いそうです。もちろん一人一人が今・これからの地球の未来を考えて、普段の生活が地球の中の別の国や地域に住んでいる人に大きな影響を及ぼしていないかを考え、行動をできるだけ改善することは必要不可欠ですが、個人だけでは、限界があります。もっと大きな規模で活動しているまたはそれを監督しているひとたちも頑張る必要があるのです。

 

2つめは、経済ベースに関してです。SDGsには17の目標があることは多くの方がご存知だと思いますが、それを分類すると、環境・経済・人権というカテゴリーから構成されています。しかし、世に出回っている情報には、経済の部分を重要視しているようです。SDGsは新しいビジネスチャンスであると書かれていますが、そんなことはありません。SDGsは国連で採択された2030アジェンダの一部の集まりですが、すべて誰もが一番優先して考えなくてはいけません。これから経済活動をするうえで、スタンダードとなるものです。一時的なトレンドではありません。日本の企業は、環境や人権を軽視してきたため、ビジネスチャンスと書くことで、政府が企業に重い腰を上げさせたいのかもしれません。

 

3つめは、人権ベースに関してです。岡島は人権がSDGsを語るうえで一番重要なことであると主張する一方、SDGsと人権の関係を解説する書籍はほとんどないそうです。なぜ人権を重要視しているのか。理由は2つです。1つは、学術上の理由です。90年代より前は、所得をあげることで、人々が抱える問題を解決しようと試みました。90年代に入ると人権問題を解決するために開発を行おうという考えに変わりました。そして、2000年代には人権基盤型アプローチ(ライツ・ベース・アプローチ:人々が抱えている問題を権利侵害が起きているとみなします。そして、権利侵害を解決するために、それを担う方も巻き込んで権利侵害をなくそうという考え方です)が主流となってきました。2つ目は、政治上の理由です。世界で人権は非常に重要だという建前が崩れてきています。再度、人権は人間に必要不可欠だと認識しないという危機感があります。以上のことからSDGsに人権の要素を盛り込みまれたのです。人権のことを扱わず、SDGsの話をするのは、SDGsの根幹を理解していないのも同然という話でした。

 

それでは、どうすると日本社会でSDGsに人権が重要だと浸透させればいいのでしょうか。岡島は3つ提案しておりました。1つめは、1人1人が先ほどの話を多くの方に伝えることです。知っている人が増えれば、上がる声も増える可能性があります。2つめは、子どもの権利委員会から日本政府への勧告をメディアが報じることです。これはメディア次第ではありますが、私たちが求めることは可能です。最後は、地球市民として、日本政府がSDGsをどのように国内で活用していくか注視することです。不十分や未実施の分野に対して、日本政府にSDGsに考慮するよう声をあげる・選挙で市民の意見を反映させる。以上の3つが明日からできることとして紹介され、岡島の講演は終了となりました。

 

 

つづいて、シーライツ代表理事甲斐田万智子より、子どもの権利と新型コロナウイルスがどのように密接に絡み合っているかについて、お話しいただきました。

 

まずは、家庭での母親についてです。緊急事態宣言により学校を臨時休校になったり、テレワークが推進されたことにより父親の在宅時間が増加しました。母親は、食事を作る回数や家で静かにさせるために、母親が一層家事・育児が1日に占める時間が増えました。場合によっては、子どもと過ごす時間が増え、母親自身も新型コロナウイルスによるストレスから、子どもに虐待をしてしまうケースが後を絶たないようです。元々日本は、性別役割分業が根強く残っており、ワンオペや女性の権利を軽視が存在していました。それが、新型コロナウイルスにより、しっかり世に現れたということです。

 

次は、外国にルーツをもつ子どもたちについてです。既に、彼らが日本語教育を十分に受けられないという現状はありましたが、それが一層新型コロナウイルスで加速しました。授業についていきにくなったり(専属の先生が横につけないことが理由です)、同じ悩みを抱える仲間と会いにくくなったりしました。社会的に孤立する子どもは増加の一途をたどっています。

 

続いて、LGBTQといった性的マイノリティーの子どもたちです。国内には、性的マイノリティの子どもたちが安心して楽しく過ごせる場所があり、コロナ前はなんなく通っていました。しかし、コロナウイルスが流行すると、彼らにとっては数少ない居場所に行けなかったり、行けるようになったとしても、万が一新型コロナウイルスに感染したことによりSOGI(Sexual Orientation and Gender Identity:誰が好きであるかという性的指向と自分は何者であるかという性自認 ※どの性でもないという場合もあります)が周りの方に思いかけず知られてしまうことが不安であり、せっかくの居場所に行けないという現状があります。

背景には、親を含めLGBTQに対する理解が圧倒的に少ないことがあるようです。

 

最後に、性暴力を受ける子どもたちです。学校の臨時休校により、家で彼氏や彼女と過ごすことが多くなり(一方親は仕事のため家にいないことも多い)、望まない性行為による妊娠が多くなっているそうです。また、オンライン活動が活発になることにより、自撮り被害に遭う子もいます。さらには、アダルトビデオに相手の裸写真を売る方もいるようです。これらの原因として、再三いわれてきていることですが、性教育が学校で行われていないことがあります。完全にとは言わなくても権利侵害に遭う子どもを減らすことにはつながります。

 

一方、シーライツのもう一つの活動場所であるカンボジアの状況も共有していただきました。最近はやっと学校が再開している。学校以外での英語教室やコンピューター教室は大盛況のようです。しかし、コンピューターの数が少ないことが悩みの種だそうです。また、親に対しては、食料のサポートをして、生活が続くようにしています。

 

まとめとして、甲斐田は、子どもの権利条約を使って、自分の権利侵害を訴えて、子どもが本来持つ能力や力を発揮できていないことと、緊急事態でも、子どもの声に耳を傾けなければならない。この2つがおこなわれていないことが問題あると伝えてくださいました。

 

 

最後に、私からこのイベントに参加しての感想を述べたいと思います。人権侵害という問題は、やらなければならないことや解決を求める相手が大きいから個人で何ができるのといわれることがあります。事実を知れば知るほど個人の無力感にさいなまれることは私もあります。確かに私たちは出口の見えないトンネルでさまよっています。自分の行動がどう影響を及ぼすかわからないし、他人がどれだけ協力するかわからない状態です。それでは、自分ができる範囲で行えばいいのではないでしょうか。必ずしもお金を寄付したり、何かイノベーションを起こしたりすることを求めようとしない。このようなイベントに参加するだけでも十分意義があります。それぞれが無理せず長く続けられる方法を考え行動する。自分には無理そうな場合は、代わりにやってくれる人に託す(それを実行し、続けることを求めることはしないといけません)。当たり前を当たり前に行う。地球がこの先も存在し続ける解決策は、意外と簡単かもしれません。

 

 

※今回はオンラインで開催したため、写真の掲載はございません。予めご了承ください。