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8/20 中川香須美さん講演「カンボジアの人身売買と性的搾取」に参加しました

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2016年08月22日

 

8/20 中川香須美さん講演「カンボジアの人身売買と性的搾取」に参加しました

本日上智大学にて、中川香須美さんによるカンボジアの人身売買と性的搾取問題に関するセミナーがありました。

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経済成長著しいカンボジアにおける女性の地位や人身売買、性的搾取の現状について、中川さんがインタビューをされたセックスワーカーの声やパンニャサストラ大学の指導学生の反応を紹介されながらご説明がありました。

世界男女格差ランキングによれば、カンボジアは108位と低く(日本は101位)、家父長制度や女性蔑視の慣習が根強く残っていることがわかります。

農村では、貧しい両親の苦労する姿を見て育った娘が「家族を助けたい」と学校を中退し、出稼ぎに行って「恩返し」をする傾向にあるそうです。

カンボジアの女性の労働従事率は約8割と言われており、これは現金収入を得るための労働だけではなく、家畜の世話や家族が食べていくための農業に携わることも含まれ、働くことをアイデンティティにしている女性が多いということです。

人身取引のルートはアジア地域で広がっており、
特にタイの漁業やマレーシアの家事労働分野での出稼ぎに行ったカンボジア人の労働搾取の被害は深刻化しています。

韓国や台湾へ花嫁として取引されたり、労働ビザを持たずに中国へ行った女性たちが、
「中国人と結婚すれば働ける」と偽装結婚、監禁、暴力の被害にあうケースも増えています。

外交的な問題から、カンボジア政府はこれらの中国のケースに対して法の取り締まりを出来ていないのが現状だそうです。

かすみさん書籍.jpg

売春宿では女性は1回たったの500円(夕食程度の金額)で取引され、
カンボジア男性の10人に1人が一度は女性を買った経験があるとされるほど「女性を買って当然」という風潮があります。
中川さんは、この背景には一夫多妻制の伝統文化があり、特別裕福でもない限り多くの男性が1人の女性を妻とする現代カンボジアにおいては、「多くの女性を妻には出来ないが、買うことは出来る」と考えられているのではないかと指摘されました。

そうしたセックスワーカーの女性は、
客に未払いのまま逃げられたり、ゲストハウスで集団レイプの被害にあったり、
違法な路上の客引きだとして警察に乱暴に車に引きずり込まれて逮捕されたり、
セックスワーカーを母親に持つ子どもが学校で教員から差別されたりと、社会全体から厳しい差別の目に晒されています。

カンボジアには
「男は黄金、女は白い布」
ということわざがあります。

これは一度汚れた女性は綺麗に戻れないということを示しています。

今後の課題として、
貧困からやむをえずセックスワーカーとして生きることを選んだ女性たちに対して、路上から一掃して強硬的に逮捕し、社会から排除するのではなく、女性たちの就労環境を整えて自立支援を促す姿勢が求められるとまとめられました。

*****

(感想)

セックスワーカーへの偏見・差別はカンボジアに限らず、日本を含め世界的に存在していると思われます。

そうした女性たちを汚い存在として社会から一概に摘発・排除するのではなく、
あらゆる環境にいる人が尊厳を持って生きていくことができるように社会全体で向き合っていかなければなりません。

カンボジアの話を聞きながら、
日本で人身取引のようなかたちで労働搾取される外国人実習生のケースや、日本のセックスワーカーの現状が頭に浮かび、決して「海外の問題」と片付けてはいけないと感じました。

(インターン 八野井)

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。