お知らせ

"闇の子供たち"をよんで…

お知らせ

2008年11月30日

 

 こんにちは。今回からブログの担当になりました、会員で大阪事務所ボランティアの前嶋千里です。

 

 先日届いたシーライツの会報(2008年秋号・63号)で、”闇の子供たち”の東京での座談会の報告を読ませて頂きました。多くの方が映画や本(原作ヤン・ソギルさん著「闇の子供たち」)で取り上げられている問題を自分たちの問題として真剣にとらえられ、自分たちにもできることがないかと考えられている姿にとても心強く思うとともに、こういう輪がさらに広がれば良いのにと思います。

 

 そこで勝手ながら”闇の子供たち”の本と映画の感想を、二回に分けて書かせて頂きます。今回は本の感想です。

 

 本では途上国で起きている人身売買や子ども買春、底辺で暮らす人々の暮らしの現状が詳しく描かれているだけでなく、それらの問題同士のつながりと、それらの問題と日本や欧米諸国のような先進国とのつながりも描かれていて、私にとって新たな角度から貧困、人身売買、子ども買春の現状と、日本と途上国との関わり方の問題を見直すことができました。そして全ての問題が、想像以上に酷いものだとわかりました。

 

 特に子どもたちの置かれている状況は最悪で、”人間”として扱われていないということを強く感じました。自分たちの快楽だけを求める大人たちの行為によって、子どもたちは身も心も深く傷つけられています。そして何より自分の命に関わる選択が、買春宿の大人や客にゆだねられ、命を落としてしまう危険とそれを拒めば虐待されることに対する恐怖が毎日続きます。また本によれば、子どもたちがHIVにかかって症状が進行してしまうと、生きたままゴミ袋に入れられゴミとして捨てられてしまうのです。

 しかしそこから抜け出せたとしても、「売春婦として働いていた」「HIVに感染している」ということで偏見を受け、結局また世間から人間として扱ってもらえません。それは一番自分を受け入れて愛してもらいたい存在の親であってもです。

 

 また今までは、親が子どもを売るという行為は貧困で食べる物に困ってしまい、親が最終手段として子どもを売り、飢えをしのいでいるという昔の日本でも起こっていた様な状況から生じるのだと思っていました。確かにそういう理由で売られてしまった子どもたちも多いと思います。しかし中には金儲けや、家電、車・オートバイの様な贅沢品を購入する目的で、親が自分の子どもを売ってしまうケースもあり、そのことが本当に悲しいです。

 

 またペドファイルと呼ばれる児童性愛者の中には、自らも子どもの時に大人から性的虐待を受けていた被害者がいることや、買春宿で働く人の中には、自分も子どもの時に貧困のために買春されていた者が、自らの身を守るために虐待する側に回ってしまう者もいることを知りました。かつての被害者が加害者になってしまうことは非常につらい出来事で、ペドファイルや買春宿の人たちが、自らが受けたストレスのはけ口を求めてしまうのもその1つですし、自分がHIVにかかることなく、飢えずに生きるためには犯罪者側に回らざるを得ない時、人を押しのけてでも自分が生きたいと誰しもが思うのではないでしょうか?また本に登場する新聞記者は、途上国の子どもたちから生きたまま臓器を取り出し、先進国の子どもに移植するむごい行為が行われているというネタを掴みました。そしてストーリーでは、買春宿で働かされていた少女が臓器を移植するために、病院に連れて行かれます。もしこれが事実であれば、許されない犯罪だと思います。全ての子どもに生きる権利があります。だから途上国の子どもたちが、お金持ちの子どもたちが生きるために殺されるというようなことは、あってはならないことだと思います。その一方で、やはり病気の子どもたちにも元気になって生きてもらいたいとも思います。それが自分の子どもなら、その思いはひとしお強いはずです。私は子ども買春や臓器移植の問題が起こってくるのは、これらがそういう人間の心の弱さに付け込む行為であるからだと思います。

 そして一番強く感じた事は、貧困や児童労働、子ども買春、臓器売買など全ての問題が”負の連鎖”のように繋がっているのではないかということです。なぜなら、これらの問題は複雑に絡み合っていて、1つの問題が起きるとドミノ倒しのように別の問題が生じたり、問題の悪化に繋がっていたりするからです。そしてこれらはタイなどの途上国で起きている問題であっても、未だに多くの日本人が買春や臓器移植を途上国で行っているのであれば、その1つ1つの問題に個人としては関与していなかったとしても、日本人として何らかの責任があるのではないかと思います。そして人間の弱さをついた問題だからこそ、禁止するだけでは解決できない問題だと思います。私たちや自分の周りの人が未来の加害者にならないために、また虐げられている子どもたちが人間として生きていくことができるためには、私たちもこの問題にどう取り組めば良いかを考えていくことが大切なのではないでしょうか?

 

*次回イベント*

12月21日、ワンワールドフェスティバルの会場内で、”闇の子供たち”の映画や原作を読まれた方を対象に、座談会を行います。自分の思いや考え、感想を多くの方と語り合ってみませんか??

詳しくはこちら↓↓

http://www.c-rights.org/2008/11/-in-1221.html

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

大阪事務所ではイベントやブログに関する皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。 
お問い合わせはこちら↓↓

http://www.c-rights.org/access.html 
毎週水曜日13時~17時に開所しています。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 

大阪事務所一同

文責 前嶋千里

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。