お知らせ

甲斐田万智子代表理事 【帰国のごあいさつ】

お知らせ

2010年06月29日

 

みなさま、こんにちは。シーライツ代表理事の甲斐田です。

本日は、皆さまにご報告があります。過去7年間、カンボジアとタイに滞在してきましたが、今月初めに帰国し、今後は日本で活動することになりました。

カンボジアにおける子どもの人身売買、性的搾取をなくしたいとカンボジア・プロジェクトを始め、プノンペンにシーライツの事務所を開設したのが、2003年のことでした。

最初は、カンボジアのパートナーNGOを選ぶことから始めました。シーライツと同じように子どもの権利をベースにして活動しているNGOはどこか、児童労働や性的搾取、人身売買などの子どもの権利侵害をなくそうと活動しているNGOはどこかを探しました。その前年にカンボジアを初めて訪問したとき、予想以上に子どもの参加の権利を重視して活動しているNGOがあることを嬉しく思っていたのですが、それらのNGOと話し合いをもちました。

■カンボジアで出会った子どもたち

その後、パートナー団体の選択基準を定め、4つのパートナーを選択し、子ども中心で活動している事業の支援を始めました。カンボジアは目上の人を敬う文化。目上の人に対してはなかなか意見を言うことが難しい国ですので、子どもたちが活動を通じて意見を言ったり情報を伝えることはかなり大変のようでしたが、活動を始めるとそんな中でも勇気を出して活動する子どもたちがたくさんいました。

また、そんな子どもたちが主体となって活動することを応援し、温かいまなざしで見守る地域のおとなにも出会いました。

一方で、貧しさから親によって出稼ぎに出される子どもたちは後を絶ちませんでした。私たちが2006年から活動を開始したスバイリエン州では、特にベトナムに物乞いに行かされる子どもたちがたくさんいます。

事業を続けるなかで、厳しい状況においても子どもたちが学校をやめずに物乞いにも行かなくなっているという成果が出てきていますので、それを今後少しずつお伝えしていきたいと思います。

アフェシップの依頼を受けて始めた保育サービス支援事業も5年がたちました。さまざまな事情で性的搾取の被害に遭い、子どもができた若い女性たちが、別の道を歩むために職業訓練を受ける際に保育室は欠かすことができないものとなっています。

さらに、昨年からは、職業訓練を受けて洋服をつくりながら経済的に自立して暮らしているアフェシップ・フェアファッションという洋裁所の女性たちの保育サービスも支援することができるようになりました。

2004年からはストリートチルドレンをセックスツーリストから守る活動をフレンズ・インターナショナルを通じておこなってきましたが、今年は、現地の活動を支援するのではなく、日本からカンボジアへ旅行する人たちを対象にしたキャンペーンを行う予定です。旅行の際に物乞いや物売りをしている子どもと出会ったとき、どういう行動をとれば子どもたちの権利を守ることができるようになるかを示すリーフレットを配布します。このキャンペーンについてもブログでご紹介していきたいと思います。

現在、プノンペン事務所には、日本人スタッフ二人とカンボジア人スタッフが日夜、カンボジアの子どものために励んでいます。カンボジアでプロジェクトを始めた当初は、日々の業務をこなすことで精いっぱいでしたが、最近では、村人、子どもたちのニーズをきちんと把握し、現地の社会福祉局とも話し合いをしながら、必要なことを見極め、将来の計画を立てつつ事業を進めることができるようになりました。

また、私の海外滞在中、東京事務所や大阪事務所でも、ボランティアの方々やスタッフが留守をしっかりあずかって事務所を運営してくれました。特に総務のスタッフがきちんとした会計業務を行ってきてくれたことが、今回の認定NPO法人としての認可にもつながりました。

■新しいビジョンとミッション

現在、シーライツでは中長期計画を立てているところですが、6月26日に開催した総会後の理事会でもどんな活動をめざすか、どんな団体になることを目指すかを理事とスタッフでカンボジア事務所ともスカイプでつないで話し合いました。

昨年度、シーライツはビジョンとミッションを新しく策定しました。
ビジョンとしてめざす社会として新しく決めたのは、以下のような社会です。

・すべての子どもが伸びやかに育ち、「ちから」を発揮することができる社会
・すべての子どもが生まれてきてよかったと思える社会
・すべての子どもの権利がまもられる社会

そして、カンボジアでも日本でも子どもが苦しいとき、つらいときには声を上げることができ、それに対しておとなが子どもの声に応えていけるような社会をめざして、活動していきたいと思っています。

■今後に向けて

このような社会をめざしてきちんとした活動をおこなっていくためにもいい組織づくりが大切ですが、組織づくりのカギはコミュニケーションだと最近ますます感じています。甲斐田の帰国を機に今後は団体内部でのコミュニケーションをまずしっかり図り、そして、支援者のみなさまともじっくりコミュニケーションをとっていきたいと考えています。

正会員のみなさまには、総会資料として今年度の予算書を送らせていただきましたが、今年は特別に厳しい財政難となっております。会員のみなさまの中で、まだ会費を支払っていらっしゃらない方は何卒、ご継続をお願いいたします。また、今年は、マンスリーサポーターを100名に増やすことをめざしています。

どうか、まわりの方々にマンスリーサポーターへのご協力をお願いしていただければ幸いです。今年4月に認定NPO法人となり、シーライツへのご寄付が税控除を受けられることになりましたので、この機会にぜひ支援者の方々を増やしていきたいと思います。

みなさまのご理解ご協力をどうぞよろしくお願いします。

甲斐田万智子

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。