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2009年、レイプ報道が増加:専門家調べ

カンボジアだより

2010年03月29日

 

 今回のカンボジア便りでは、昨年度、カンボジアでのレイプ事件報道件数が増加したという記事をご紹介します。カンボジアでは、特に農村部でのレイプ事件が多発しており、被害者の多くは子どもです。事件数そのものが増えているかは信頼出来る統計がないので、定かではありませんが、警察側は、カンボジア国内でポルノが以前より簡単に手に入るようになったことや、アルコールの消費量が増えたという理由を議論している一方、人権擁護団体の啓発活動の努力により、報道数の増加がみられたのだという見方があります。いずれにせよ、レイプがなくならない原因として、女性・子どもへの差別、犯人が賄賂を払い罪から逃れられる、処女性を重視する文化のため被害者が黙っている、などの背景があると思います。9歳の少女がレイプ後に殺害されたなどの報道を耳にしますが、具体的にどのようなレイプ事件が起きているのか、別途ご紹介していきたいと思います。

 

写真cPhnom Penh Post

子どもへの性的暴力をなくすためにご支援ください。

 

詳しくは、http://www.c-rights.org/join/donation.html

 


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2009年、レイプ報道が増加:専門家調べ

 

2010126  プノンペンポスト紙

モム・クンティアー記者、ブルック・ルイス記者

 

 先週発表されたメディアの分析によると、 2009年に各紙で報道されたレイプの件数は2008年の268件を上回る322件で、その半数以上が子どもが被害者のケースである。

エクパット(ECPAT)カンボジアが、カンボジアの新聞5紙におけるレイプ事件の報道について行った調査では、昨年報道された322件の被害者337人のうち、204人が子どもであることがわかった。

 

 ECPATカンボジア代表のチン・チャンウェスナ氏は、「政府とNGOはレイプから身を守ることについて広報活動を行っており、レイプに関する全国的な啓発活動が報道件数の増加に多少なりとも影響しています。しかし状況は深刻で、子どもの安全に注意するよう、保護者への教育をさらに進める必要があります。」と語った。

昨年起きたレイプ事件の容疑者381人のうち、有罪判決を受けたと報道されたのはわずか1.5パーセントにあたる6人であった。これは示談解決の多さが一つの要因であるとECPATは考えている。

チン・チャンウェスナ氏によれば、多くの被害者は捜査や訴訟にかかわる費用を支払えないために示談解決を選んでおり、こうした慣行によって加害者がたやすく再犯に及ぶようになり、レイプ事件がなくならない要因となっているという。

「無償で被害者を支援しているNGOが多数あるので、たとえ訴訟(にかかわる)費用を支払えなくても法廷に訴えるよう、引き続き被害者に積極的に働きかけています。」と同氏は話した。

 

人権団体Licadhoの職員サオ・チャン・ホーンは、「いかにレイプから身を守るかについて、政府がより多くの情報提供を行う必要があります。レイプ事件は主に貧しく教育水準の低い家庭が集まる農村地域で起こっています。子どもが被害者となっている事件の報道件数の増加は、不注意な親の責任だとすべきではないのです。」と語った。

14州のみのデータであるものの、Licadhoにおいても2009年のレイプ事件の報道件数の増加が確認されていると同氏は話した。Licadhoが新聞、被害者の家族、警察から情報を収集したところによると、子どもが被害者となっているレイプは146件から209件に急増している。

チン・チャンウェスナ氏は、レイプ事件の総数は報道された件数より多いことを指摘し、ECPATは他のNGOと協働で2010年中頃に包括的な報告を発表する予定だと話している。

 

2010210日 翻訳:植田あき恵)

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