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ペドファイル:私たちの社会の卑劣な汚点

カンボジアだより

2012年07月24日

 

今回は、4月からカンボジアの私たちとかかわりの深いNGO、HCCでインターンをしている大学院生の林雅雄さんがプノンペンポスト紙の女性コラムニストでブロガーのソマ・ノロドム氏の記事を翻訳してくれました。この記事は、以前このブログで記事を紹介した、2005年から2007年の間にカンボジアで17人の少女を性的虐待し、8年の禁固刑を受けながらも国王の恩赦によって釈放されたロシア人の再逮捕についても言及されています。
以下、林さんからのコメントです。

記事を読んで

カンボジアは現在、年5%以上の高い経済成長率を維持し、日々発展しています。プノンペンに限っていうと、大型ショッピングセンターやファーストフード店等、先進国とあまり変わらない様子が見られるようになってきました。そして、現在もなお建設ラッシュが続いており、首都ではますます開発が進む様子がうかがえます。
そのような高い成長率を維持する上で、観光業は重要な役割を担っています。カンボジアのGDPの14%は観光業です。首都プノンペン、観光地シェムリアップには多くの外国人観光客の姿が見られます。そのようにカンボジアの文化に触れようと訪れている観光客の中には、性的搾取の加害者がいるということも事実です。
以下の記事は、子どもを性的搾取するペドファイルの現状、そしてペドファイルに対する最新の取組みについて述べています。旅行者の中には、性的な目的で訪れる旅行者、いわゆるセックスツーリストが未だに存在しています。記事は、そのような海外からの性的加害者に対する国際的な取り組みを始め、実はカンボジア人の間でも子どもに対する多くの”需要”があることや、政治や司法の汚職についても書かれてあり、社会全体での取り組みが必要であると主張しています。政治や司法の汚職・賄賂をなくし、国内外出身を問わず、加害者がきちんと処罰される体制がつくられ、女性や子どもが安心して健やかに暮らせる社会になってほしいと願うばかりです。

 

Pedophilia: An ugly stain on our society .
Friday, 08 June 2012 Soma Norodom .  .Share7

ペドファイル:私たちの社会の卑劣な汚点
2012年 6月8日 ソマ・ノロドム(写真左下 Soma Norodom)

 

 

soma.jpgペドファイルとは、子どもに性的な興味を抱く人を指す言葉である。子どもと性的行為をもつことは犯罪であるとともに、心理的疾患でもある。

アメリカ政府は、性暴力事件の加害者の住所や行動の詳細を公開登録するシステムを用いて、彼らの消息を把握している。加害者の中には、学校やデイケアセンター等の施設の近隣に住むことが禁止されている者もおり、その多くがアメリカを離れ、カンボジアに移り住んでいる。
ABCワールドニュースは、「アメリカを始めとする外国の人々は、国民が貧しく、警察が腐敗しているという状況につけ込んでカンボジアに来る。」と報告した。カンボジア、そして第1のリゾート地として知られるシハヌークビルは、ペドファイルにとって魅力的な場所となっている。

最近では、法を犯した場合、刑務所に入れられる法律が制定されたが、これは全てのケースに当てはまる訳ではない。子どもを性的搾取した加害者の多くは、裁判官・警察そして権力者に賄賂を渡し、無罪となっている。もし仮に、大金を所持していれば、人生ゲームのように、刑務所を出るためのフリーパスを貰うことも可能である。

しかしながら、希望も見える。カンボジアで注目を浴びた事件として、ロシア人のペドファイルの事件がある。この事件の加害者である男は、昨年の12月に政府の要請により恩赦となり釈放されたが、再び逮捕された。今週、当局は男をプノンペン郊外に勾留しているが、ロシアに強制送還することとなった。

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2008年3月にプノンペン地裁で審問を終えて連行される
ロシアのペドファイル、アレクサンダー・トロフィモフ(左) cReuters

このような犯罪を犯すのは、外国人だけではない。あるNGOの報告書によると、「子ども達に対する性的加害者の多くは、カンボジア人であり、特にカンボジアでエリートと呼ばれる人々である。」と指摘している。カンボジアの文化的背景として、処女と性行為をすると、幸運や力を得ることができると信じられている。多くの両親は子どもを売りたくないと思っているが、絶対的貧困から抜け出すために、他に方法はないと思いこんでいる。

ペドファイルを取り締まる活動をする非政府の人権団体、Action Pour Les Enfants(APLE) は、2003年から、子どもの性的搾取と闘うために活動している。
また、国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、国際刑事警察機構(インターポール)と協力し、「子ども時代・プロジェクト(Project  Childhood)」を行っている。このプログラムは、子どもの性的搾取の防止・被害者の保護・回復に焦点をあて、最も弱い立場にある子ども達を保護し、子どもの性的搾取の加害者に処罰を与えようというものである。

しかし、これらの問題をなくすためには、一部の組織だけでなく、政府と社会全体が力を合わせなければならない。カンボジア政府とカンボジアの社会が、子どもに対する需要と供給をなくしていかなければならないのである。
法律がきちんと執行されることも必要であり、旅行会社、ゲストハウス、ホテルの従業員は、現行法を順守し、大人と子どもの性的接触を見かけたり、疑いがある場合は、当局に通報しなければならない。

罪もない子ども達は、卑劣な人間の性のオモチャとして使われるのではなく、私達の未来となる存在であることを、どうか忘れないでほしい。

最後に、かけがえのない子ども達を守るのはほかでもない両親であることを強調したい。両親は子どもを取り巻く環境や彼らの活動に気を配ってほしい。常に警戒して、彼らの話に耳を傾けてほしい。
ペドファイルに対抗する最大の武器は、いつであっても熱心な親と子どもたちを気にかける地域社会なのである。アメリカのクリントン国務長官は言う。「村全体がかかわらねばならない」と。

 

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。