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地域の人たち全員で学校の先生をサポートする!

カンボジアだより

2013年06月11日

 

地域の人たち全員で学校の先生をサポートする!

 こんにちは。カンボジア事務所の上田です。 

 シーライツは、地域の先生たちが各学校で、子どもの権利教育やピアエジュケーション(生徒から生徒に知識を伝える方法)を運営できることを目標としているので、そのための話し合いを続けています。
 学校の先生たちが、授業やピアエジュケーションなどの活動を充実させるためには、地域の人たちのサポートが不可欠です。NGOや教育局のサポートだけでは、その場限りの活動で終わってしまいます。特にシーライツの事業地のタナオコミューンは、地理的にとても不便なところにあるため、NGOや教育局の職員もほとんど村にやって来ません。NGOの活動は、事業と予算がある時はやっていけますが、その後地元の人々に持続してもらうことがとても重要で難しいのが現実です。先生たちは、以前に別のNGOがタナオ中学校で行っていた『子どもの権利に関するピアエジュケーション』について、「効果がなかった」と言っていました。
 その点、シーライツの強みは、「地域の住民が主体」を第一に考えているということです。私たちスタッフの役割は、そのファシリテーションをすること、つまり、道筋をたてて村人たちを導くことです。

(写真は、村人と先生たちの意見交換会の様子。左端で話合いの進行役をつとめるシーライツの職員 cC-Rights

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 今回は、先生たちと保護者が、どうしたら子どもたちが学校に来て、良い授業を受けられるかについて、意見交換会を行いました。先生たちが抱えている課題と解決策を地域住民と一緒に考え、子どもたちが学ぶ環境を整えるにはどうしたらよいのかを考えるセッションです。実際に話合いをはじめてみると、意見交換会はいくつもの大変難しい問題に直面しました。一番の問題は先生たちの給与の問題です。カンボジアでは公務員の給与が低いため、先生たちのモチベーションが低い、他の仕事をしなければ自分の生計が成り立たない、汚職がまん延している、という事情があり、タナオも例外ではありません。

 この一番の問題を解決するために、コミュニティの人たちと一緒に考えたのは、先生の給与をサポートするという案です。そうすることで先生たちもきちんと授業をしなければならないという責任感が生まれるからです。
 そして、この案は、村人たちの同意=村全体の総意で、「組織的」に行われることが最も重要です。そうでなければ、先生の給与をサポートする人の家族の子どもは優遇され、そうでない家族の子どもは冷遇される可能性があります。給与サポートできる家族の子どもが通い、できない家族の子どもは通えないという「私立学校」設立の基礎を作ってしまいかねません。また、個人的なお金の支援は「公的な賄賂」ととられてしまう可能性もあります。
 このため、私たちスタッフはこの意見交換会の内容とファシリテーションについて周到に準備しました。先生たちとの話合いにもずいぶん時間をかけました。
 一般的にカンボジアで、NGOが活動をする場合、村人は支援を受ける側です。また、先生は一般的に上から目線で物事を見て、村人を下に思っています。民主主義の概念の乏しいカンボジアでは、それが現実です。その人たちの立場を逆にして、村人が先生を支援する立場に回るのです。この考え方は、受け入れられないかもしれないという不安がありました。過去に、地域住民がボランティアとして無償で関わるという活動経験はありましたが、公務員の給与サポートを地域住民全体に説明するなんて初めてです。
 しかし、この両者の協力がなければ、子どもたちが一番被害を受けるのです。地域の未来が失われると言っても過言ではありません。

(写真は別の村で行われた意見交換会の様子 cC-Rights)

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 これまでに意見交換会を6か所5か村で行いました。全体の同意をとりつけられたのは、3か所(2か村半)です。どうしても現金の融通がつかない場合、現物支給でも構わない(コメや野菜を渡すというサポート)という条件を設けたこともありますが、とにかく1歩前進しました。これはとても喜ばしいことです。
 この意見交換会がうまくいったのは、①先生たちが村人と率直に意見交換をする場が設けられ、建設的な話合いができた。お互いの立場を話合うことができ、誤解もあることがわかった。②先生も村人の一員なので、村人同士で助け合うにはどうしたらよいのかを一緒に考えることができた。③シーライツのカンボジア人スタッフのファシリテーションが素晴らしかった、からだと思います。

 あとの3か所は、個人レベルの同意にとどまっています。これからも、住民全体の同意が得られるまで、説明を続けていきます。

 今後、この村人による先生へのサポートをシステム化する必要があります。そのサポート委員会では、子どもたちを含む地域の人たちにメンバーになってもらう予定です。

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。