お知らせ

“カンボジアの学校における体罰をなくすために:教師研修によって生徒がより安全で豊かな学びが得られる環境をつくる”

お知らせ

2019年03月21日

 

こんにちは。東京では桜の開花の発表がありましたね。

 

さて、今回は、UNICEF(Cambodia)によって投稿された記事の日本語訳をご紹介します。暴力や体罰を伴わない学習環境作りに向けてカンボジアで実施された取り組みに関する内容です。

*記事の原文(英語)はこちら

 

また、以前掲載した、ネパールにおける子どもに対する暴力関連記事もぜひご覧ください。

 

“Towards ending violent discipline in Cambodian schools: Teacher training helps create a safer and encouraging learning environment for students”

By Hanna Persson and Theavy Leng

Thursday, June 22, 2017

 

“カンボジアの学校における体罰をなくすために:教師研修によって生徒がより安全で豊かな学びが得られる環境をつくる”

2017年6月22日木曜日

 

◆要約

カンボジア教育・若者・スポーツ省(MoEYS)とUNICEFは、よりインクルーシブな学習環境と学力改善を目的とした、教師向けのポジティブ・ディシプリン研修事業(positive discipline training)を開始した。これは、子どもの権利ベースアプローチにより、体罰を伴わないインクルーシブな学習環境を作る指導法により、教師と生徒の間のより建設的な人間関係構築を目指している。

研修は、教師だけではなく、校長や各地域の教育関係者も受講し、研修後は授業をマネジするための教材やツールキットを活用して、暴力によらないを介さない新しい指導法を実施した。本研修を継続的に実施するために、MoEYSとUNICEFは、学校向けに教材やガイドブックを配布した。

体罰を受けた生徒は、学習障害、早期退学、暴力的な態度、精神的・身体的な健康問題などを抱える傾向にあった。しかし、本指導法を実施したところ、以前よりも安心して教室で過ごすことが出来るようになり、宿題の実施率や出席率が向上、子どもの自尊心も育つことが判明した。

この指導法では、生徒自身が教室での行動規範を作る。各クラスで5-7人の生徒がリーダーとして、教室でのルールについて、他の生徒と相談する。皆の意見をインプットする機会がある。以前、理不尽に叱られていた生徒の行動が変化し、今では他の子どもを助けるようになった。

 

◆全訳

(カンボジアのバタンバン、2017年6月)カンボジア北西部に位置するパンハ小学校では新たな一日が始まる朝を迎えていた。生徒たちは楽しそうに軽い足取りで教室に入り、自信に満ちた空気が漂っていた。それは、生徒と教師の関係が改善されたことで、学校が子どもにやさしい学習環境となったからである。

教育・若者・スポーツ省(MoEYS)とUNICEFは、最近カンボジアで初めて、よりインクルーシブな学習環境を目指し、その結果、学習効果が改善するように、教師向けのポジティブ・ディシプリンに関する研修を立ち上げた。
ポジティブ・ディシプリンとは、暴力を伴わず、子どもの権利をベースとしたアプローチにより、教師と生徒の建設的な関係のもとに行われるものである。

パンナー小学校の教師や校長は、カンボジア国内で初めてとなる研修に実施した。体罰のネガティブな影響に関する啓発と、生徒にとってより快適に学習しやすい環境を保障するのは教師の責任であることを啓発することを目的としている。研修を修了した後、教師には、暴力を使わないで指導する、ポジティブな教師と生徒の関係を築くアプローチを用いて、授業をするための教材やツールキットが配布された。

 

学校がポジティブ・ディシプリンに関して教師に対する定期的な研修を続けるために、MoEYSやUNICEFは、研修のファシリテーターにガイドを配布する。研修を受けるメンバーは、地域の教育に関わる職員や高校のリーダー、校長や教頭にも及ぶ。

 

体罰が学校で禁止されている実態に反して、教師が学校で体罰を行うのは、とてもよくある。
カンボジアの子どもに対する暴力に関する調査(2013年)によって、生徒たちが、学校の教師の暴力的と非暴力的な指導を受けた実態やその暴力の性質や程度が明らかになった。
暴力を受けてどのように感じたかという質問に対し、生徒たちは女子も男子も、「恥ずかしかった」「悲しかった」「腹が立った」「恐かった」と答えた。中には、もう勉強したくない、学校に行きたくないという子どももいた。
国際的な調査によって、暴力は子どもにネガティブな影響を与えることが明らかになった。その後の、学習障害、早期退学、暴力的な態度、精神的・身体的な健康問題に関係する。
「私は、この研修を受けるまで、否定的な言葉や体罰が、学校の学習環境や学習経験に深刻な悪影響を与えるとは、気づかなかった。」とパンハ小学校の6年生の担任のSin Chekは言う。
ポジティブ・ディシプリン研修は、安全で子どもに優しい教室を目指していることから、生徒は、暴力に関連する問題について、教師と話しやすいと感じている。これを考慮すると、子どもに優しい環境を作るのは、子どもたち自身よりも、より適切な人は誰か。
Iab Sothen校長は、ポジティブ・ディシプリン研修は学校の学習環境をより良いものにすることを促す、と誇らしげに主張する。「すべての教師は、生徒たちと一緒に、子どもたちが倣うべき教室でのルールを作る。各クラスで5-7人の生徒のグループが、リーダーとして、教師の支援を受けながら、教室でのルールについて、他の子どもたちと相談する。皆、意見をインプットする機会がある。教師の一人は、5年生の生徒が間違えた際、以前は、教室の外、太陽の下に、子どもを立たせ、一方で授業を続けた。しかし、以前理不尽に叱られた子どもたちは、水を庭に運ぶような日常のタスクを行い、休み時間に他の子どもを助けるようになった。」と、6年生の生徒Reaksmeyは、学校の改善された環境について嬉しそうに説明した。

 

学校の理事や教師は、研修により、ポジティブなディシプリンアプローチを通じた、インクルーシブな環境がどのようなものか、理解が向上し、子どもたちの自尊心を育てると語る。

Ms.Sinは、研修は、変化を促すと気づき、「驚くことに、子どもを感謝し、彼らを励ます言葉を言い続けることは、大きな変化をもたらすと思う。子どもは、彼らの態度をすぐに変えたと思う。より教師の話を聞き、自信を持って学ぶようになった。私に対する尊敬レベルが向上し、私は彼らの内面からそれを感じ、長く続くように思う。」
研修を実施したことは、生徒と教師の関係を改善しただけではなく、子どもがより自尊心を感じ、学校で快適に過ごすことに役立った。
6年生のLoeng Sokhaは言う、「教室の生徒は、前もって、教室でのルールについて自分たちで作ることを知っていたので、ポジティブ・ディシプリンを快く受け入れている。」
教師のSothearyは、「以前よりも多くの生徒が宿題に取り組み、学習時間が増えた。」と語る。
これは、インクルーシブな環境づくりを主導した、Panha小学校の研修の成果であり、その結果もたらされた良い点として、生徒と教師の絆が強化されたこと、学習成果が改善されたことが挙げられる。

 

(翻訳協力 鈴木真代)

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。

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“カンボジアの学校における体罰をなくすために:教師研修によって生徒がより安全で豊かな学びが得られる環境をつくる”

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2019年03月21日

 

こんにちは。東京では桜の開花の発表がありましたね。

 

さて、今回は、UNICEF(Cambodia)によって投稿された記事の日本語訳をご紹介します。暴力や体罰を伴わない学習環境作りに向けてカンボジアで実施された取り組みに関する内容です。

*記事の原文(英語)はこちら

 

また、以前掲載した、ネパールにおける子どもに対する暴力関連記事もぜひご覧ください。

 

“Towards ending violent discipline in Cambodian schools: Teacher training helps create a safer and encouraging learning environment for students”

By Hanna Persson and Theavy Leng

Thursday, June 22, 2017

 

“カンボジアの学校における体罰をなくすために:教師研修によって生徒がより安全で豊かな学びが得られる環境をつくる”

2017年6月22日木曜日

 

◆要約

カンボジア教育・若者・スポーツ省(MoEYS)とUNICEFは、よりインクルーシブな学習環境と学力改善を目的とした、教師向けのポジティブ・ディシプリン研修事業(positive discipline training)を開始した。これは、子どもの権利ベースアプローチにより、体罰を伴わないインクルーシブな学習環境を作る指導法により、教師と生徒の間のより建設的な人間関係構築を目指している。

研修は、教師だけではなく、校長や各地域の教育関係者も受講し、研修後は授業をマネジするための教材やツールキットを活用して、暴力によらないを介さない新しい指導法を実施した。本研修を継続的に実施するために、MoEYSとUNICEFは、学校向けに教材やガイドブックを配布した。

体罰を受けた生徒は、学習障害、早期退学、暴力的な態度、精神的・身体的な健康問題などを抱える傾向にあった。しかし、本指導法を実施したところ、以前よりも安心して教室で過ごすことが出来るようになり、宿題の実施率や出席率が向上、子どもの自尊心も育つことが判明した。

この指導法では、生徒自身が教室での行動規範を作る。各クラスで5-7人の生徒がリーダーとして、教室でのルールについて、他の生徒と相談する。皆の意見をインプットする機会がある。以前、理不尽に叱られていた生徒の行動が変化し、今では他の子どもを助けるようになった。

 

◆全訳

(カンボジアのバタンバン、2017年6月)カンボジア北西部に位置するパンハ小学校では新たな一日が始まる朝を迎えていた。生徒たちは楽しそうに軽い足取りで教室に入り、自信に満ちた空気が漂っていた。それは、生徒と教師の関係が改善されたことで、学校が子どもにやさしい学習環境となったからである。

教育・若者・スポーツ省(MoEYS)とUNICEFは、最近カンボジアで初めて、よりインクルーシブな学習環境を目指し、その結果、学習効果が改善するように、教師向けのポジティブ・ディシプリンに関する研修を立ち上げた。
ポジティブ・ディシプリンとは、暴力を伴わず、子どもの権利をベースとしたアプローチにより、教師と生徒の建設的な関係のもとに行われるものである。

パンナー小学校の教師や校長は、カンボジア国内で初めてとなる研修に実施した。体罰のネガティブな影響に関する啓発と、生徒にとってより快適に学習しやすい環境を保障するのは教師の責任であることを啓発することを目的としている。研修を修了した後、教師には、暴力を使わないで指導する、ポジティブな教師と生徒の関係を築くアプローチを用いて、授業をするための教材やツールキットが配布された。

 

学校がポジティブ・ディシプリンに関して教師に対する定期的な研修を続けるために、MoEYSやUNICEFは、研修のファシリテーターにガイドを配布する。研修を受けるメンバーは、地域の教育に関わる職員や高校のリーダー、校長や教頭にも及ぶ。

 

体罰が学校で禁止されている実態に反して、教師が学校で体罰を行うのは、とてもよくある。
カンボジアの子どもに対する暴力に関する調査(2013年)によって、生徒たちが、学校の教師の暴力的と非暴力的な指導を受けた実態やその暴力の性質や程度が明らかになった。
暴力を受けてどのように感じたかという質問に対し、生徒たちは女子も男子も、「恥ずかしかった」「悲しかった」「腹が立った」「恐かった」と答えた。中には、もう勉強したくない、学校に行きたくないという子どももいた。
国際的な調査によって、暴力は子どもにネガティブな影響を与えることが明らかになった。その後の、学習障害、早期退学、暴力的な態度、精神的・身体的な健康問題に関係する。
「私は、この研修を受けるまで、否定的な言葉や体罰が、学校の学習環境や学習経験に深刻な悪影響を与えるとは、気づかなかった。」とパンハ小学校の6年生の担任のSin Chekは言う。
ポジティブ・ディシプリン研修は、安全で子どもに優しい教室を目指していることから、生徒は、暴力に関連する問題について、教師と話しやすいと感じている。これを考慮すると、子どもに優しい環境を作るのは、子どもたち自身よりも、より適切な人は誰か。
Iab Sothen校長は、ポジティブ・ディシプリン研修は学校の学習環境をより良いものにすることを促す、と誇らしげに主張する。「すべての教師は、生徒たちと一緒に、子どもたちが倣うべき教室でのルールを作る。各クラスで5-7人の生徒のグループが、リーダーとして、教師の支援を受けながら、教室でのルールについて、他の子どもたちと相談する。皆、意見をインプットする機会がある。教師の一人は、5年生の生徒が間違えた際、以前は、教室の外、太陽の下に、子どもを立たせ、一方で授業を続けた。しかし、以前理不尽に叱られた子どもたちは、水を庭に運ぶような日常のタスクを行い、休み時間に他の子どもを助けるようになった。」と、6年生の生徒Reaksmeyは、学校の改善された環境について嬉しそうに説明した。

 

学校の理事や教師は、研修により、ポジティブなディシプリンアプローチを通じた、インクルーシブな環境がどのようなものか、理解が向上し、子どもたちの自尊心を育てると語る。

Ms.Sinは、研修は、変化を促すと気づき、「驚くことに、子どもを感謝し、彼らを励ます言葉を言い続けることは、大きな変化をもたらすと思う。子どもは、彼らの態度をすぐに変えたと思う。より教師の話を聞き、自信を持って学ぶようになった。私に対する尊敬レベルが向上し、私は彼らの内面からそれを感じ、長く続くように思う。」
研修を実施したことは、生徒と教師の関係を改善しただけではなく、子どもがより自尊心を感じ、学校で快適に過ごすことに役立った。
6年生のLoeng Sokhaは言う、「教室の生徒は、前もって、教室でのルールについて自分たちで作ることを知っていたので、ポジティブ・ディシプリンを快く受け入れている。」
教師のSothearyは、「以前よりも多くの生徒が宿題に取り組み、学習時間が増えた。」と語る。
これは、インクルーシブな環境づくりを主導した、Panha小学校の研修の成果であり、その結果もたらされた良い点として、生徒と教師の絆が強化されたこと、学習成果が改善されたことが挙げられる。

 

(翻訳協力 鈴木真代)