お知らせ

”ネパールに住む80パーセントの子どもたちは、暴力的なしつけを経験している”

お知らせ

2019年03月19日

 

こんにちは。早いもので、3月も後半に入りました。いよいよ桜の季節が始まりますね。

 

さて、今回は、UNICEF(Nepal)により発表された、ネパールの子どもに対する暴力関連記事の日本語訳をご紹介します。

*記事の原文(英語)はこちら

 

連日、児童虐待や子どもへの体罰に関するニュースが後を絶ちません。世界的には、子どもに対する体罰を禁止する法律が整備されつつあり、日本国内においては、今月19日、児童虐待防止に向けた法改正案が政府によって閣議決定されました(参照)。

 

なお、先日、体罰禁止法制化の流れをうけ、シーライツの代表理事、甲斐田万智子がテレビ朝日「報道ステーション」の取材を受けました。詳しい情報はこちらをご覧ください。

 

 

“Eight Out Of 10 Children In Nepal Experience Violent Discipline – UNICEF”

Violent discipline, physical punishment and bullying disrupt the education of 150 million 13-15-year-olds worldwide, Nepal is no exception.

06 September 2018

 

“ネパールに住む80パーセントの子どもたちは、暴力的なしつけを経験している”

UNICEFの調査によると、全世界の13ー15歳の1億5000万人の子どもが身体的な暴力やいじめを受け、教育が崩壊している。ネパールは例外ではない。

2018年9月6日

 

◆要約

UNICEFによれば、全世界の13-15歳の子どものうち、1億5,000万人は体罰や暴力的ないじめを受けたことがある。ネパールにおいては、1-14歳までの子どものうち8割以上が、親・学校の教師・その他の大人から体罰を受けたことがある。貧富の差に関わらず、体罰を伴う子どもの教育が行われている。

体罰によるネガティブなインパクトは、学習障害、行動障害、精神疾患、自殺なども招き、自分だけではなく、パートナーや自分の子どもに対しても影響がある。母親が暴力を受けているのを見て育った子ども、直接暴力を受けた子どもは、パートナーや子どもに暴力を振るう可能性があり、特に女性は自分自身も暴力を受ける可能性もある。また、いじめに遭うと、子どもの学習障害や幸福度にネガティブな影響を与える。

ネパール政府は、2015年に制定した新憲法の子どもの権利に関する条文において、家庭やコミュニティにおける子どもに対する暴力禁止を、「教育法(2011年)の6回目の修正条項」において、教師の行動規範において生徒に対する精神的・身体的な暴力禁止、「子ども法(2018年8月改正)」において、家庭や学校・コミュニティにおける威厳の無い態度が発覚した場合は、子どもに対する身体的・精神的な処罰を暴力とみなすことが明記された。その他、ネパール教育科学技術省(MOEST)は、教師による体罰や生徒同士のいじめ対策のために、国内の全中学校に「投書箱」を設置し、女性教師1名をジェンダー担当に任命することを義務付けた。

 

◆全訳(一部意訳もあり、単語が揃っていない箇所もあります。)

(カトマンズ、2018年9月6日)ネパールの1ー14歳までの子どものうち8割以上が、暴力的なしつけを経験している。1ー2歳の間のようやく歩き始めた子どもたちの半数以上が、しつけされる過程で暴力を受けている。ほとんどが、養育者からの暴力である。このデータは、UNICEFが、世界中の子どもが様々な暴力に直面している事実を述べることで、グローバルなアクションを支えるデータになっている。

 

ネパールのほとんどの子どもは、両親や先生、育児を担う大人により、いくつかのタイプの暴力を受けている。裕福でも貧しくても、子どもには暴力的なしつけの影響があることを、統計データにより警鐘を鳴らす。

 

(暴力を受けた子どものうち、)7割の子どもが、精神的な攻撃性があり、5割以上の子どもは、一般的な身体的な罰を受け、そのうち14%はさらに激しい暴力的なしつけに直面している。激しい暴力は、子どもに対して広範囲・長期間にわたり、影響を与える。その影響としては、学習障害、行動障害、鬱も含まれる。例えば、子どもが受けた身体的な傷は、悲劇的な死を招くこともあった。

 

子ども時代のネガティブなインパクトにより、世代を超えた暴力のサイクルが永続する。自ら暴力を受けた経験を持つ少年や、彼らの母親が暴力に苦しんでいるのを見ていた少年は、大人になり、パートナーに対し暴力をふるいやすい。自ら暴力を受けた経験を持つ少女や母親が暴力に苦しんでいるのを見ていた少女は、大人になり、DVの被害者になったり、子どもが出来た時に子どもに暴力をふるいやすい。

 

「子どもを守ることは、平和な社会を築く基礎となる。しかし、8割の子どもたちが暴力的なしつけを経験し、それは外部からは見えないものであり、社会的慣習、文化的慣習だとして、黙認されている。ネパールの法律や政策が明確に体罰を禁止し、教師の行動規範が具体的に、生徒に対する身体的・精神的な暴力を禁止すべきである。私たちUNICEFは、この問題を国家的な課題と位置づけ、育児に関わる全ての人と共に、ポジティブなしつけに向けた方法を探し、次世代を誘導していく。」とUNICEFネパール事務所の副所長Rownak Khanは述べる。

 

毎日、様々なステージの子どもが、様々な環境(自宅、学校、コミュニティ、オンライン上)で様々な暴力を受けている。UNICEFの新しいグローバルレポートによれば、世界中の13~15歳の子どもの半分となる、1億5,000万人、学校の内外で同等同士(同級生から)の暴力を受けている。レポートによると、この数字は、昨年いじめを受けた子どもの数、昨年身体的な攻撃に関わった子どもの数を用いて計算している。同級生からの暴力は、世界中の若者を教育において、永続的なのテーマとなっている。裕福な国や貧困な国のどちらでも、子どもの学習や幸福度に影響を与える。ネパールでは、2015年の調査によると、13-15歳の子どものうち5割以上が、30日間のうち1日以上はいじめを経験している。4割近くが、1年の間に、1回以上は暴力を伴う喧嘩をした経験がある。

 

いじめを防止するため、ネパール政府は、オペレーションと法律の両面に関する重要なイニシアティブを実施している。教育科学技術省(MOEST)が、「投書箱」という学校ベースの通報メカニズムを確立した。これは、生徒が経験する教師による体罰や同級生からのいじめ等、あらゆる暴力を報告しやすくするためである。クレーム対応メカニズム(CRM)のガイドライン2073は、教育・人材開発センターにより発行され、国全体の中学校が女性の教師を1名ジェンダー担当として任命し、学校に投書箱の設置を義務付けた。

 

2015年に制定した新憲法の子どもの権利に関する第39条において、家族やコミュニティレベルで、子どもの虐待や子どもに対する暴力を禁止する厳しい条項を明記している。この条項では、「家庭や学校、その他の場所や環境で、子どもは、身体的、精神的、その他のいかなる形式の苦痛を受けてはならない」と明記されている。教育法(2011年)の6回目の修正条項として、教師の行動規範が追記された。具体的には、「教師は、生徒に身体的・精神的な苦痛を与えてはならない」と記された。直近では、2018年8月に、1992年の子ども法に取って代わる子どもに関する成文法の修正法が国会に承認された。そこには、「子どもの保護・教育・しつけとして、家庭や学校、その他の場所で、身体的・精神的な罰、つまり威厳の無い態度が存在した場合、子どもに対する暴力とみなされる。」と明記された。

 

これらのポジティブなイニシアティブが始まったことから、UNICEFネパール事務所では、この数ヶ月のうちに教師や親たちが、学校や家庭でもポジティブ・ディシプリンをどのようにしていけばいいか国全体の子どもや若者が様々なアイディアを発信することができるような場をもうける予定である。加えて、幅広いグローバルな運動の一環として、UNICEFは若者に、暴力をなくすために#ENDviolenceというタグをつけたメッセージを、学校・コミュニティのSNSにアップし、彼らがいかに一緒に活動し、学校の内外で暴力を撤廃するためにどんな解決策を使っているのか、共有することを依頼している。

 

(翻訳協力 鈴木真代)

 

Notes to Editors:

Learn more about UNICEF’s #ENDviolence global campaign here.

[i] Central Bureau of Statistics and UNICEF Nepal. Nepal Multiple Indicator Cluster Survey 2014

[ii] : Aryal KK, Bista B, Khadka BB, Pandey AR, Mehta R, Jha BK, Kann L, Riley LM, Yamakawa Y, Rani M, Agrawal N, Karki KB. Global School Based Student Health Survey Nepal, 2015. Kathmandu, Nepal: Nepal Health Research Council, 2017

 

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。

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”ネパールに住む80パーセントの子どもたちは、暴力的なしつけを経験している”

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2019年03月19日

 

こんにちは。早いもので、3月も後半に入りました。いよいよ桜の季節が始まりますね。

 

さて、今回は、UNICEF(Nepal)により発表された、ネパールの子どもに対する暴力関連記事の日本語訳をご紹介します。

*記事の原文(英語)はこちら

 

連日、児童虐待や子どもへの体罰に関するニュースが後を絶ちません。世界的には、子どもに対する体罰を禁止する法律が整備されつつあり、日本国内においては、今月19日、児童虐待防止に向けた法改正案が政府によって閣議決定されました(参照)。

 

なお、先日、体罰禁止法制化の流れをうけ、シーライツの代表理事、甲斐田万智子がテレビ朝日「報道ステーション」の取材を受けました。詳しい情報はこちらをご覧ください。

 

 

“Eight Out Of 10 Children In Nepal Experience Violent Discipline – UNICEF”

Violent discipline, physical punishment and bullying disrupt the education of 150 million 13-15-year-olds worldwide, Nepal is no exception.

06 September 2018

 

“ネパールに住む80パーセントの子どもたちは、暴力的なしつけを経験している”

UNICEFの調査によると、全世界の13ー15歳の1億5000万人の子どもが身体的な暴力やいじめを受け、教育が崩壊している。ネパールは例外ではない。

2018年9月6日

 

◆要約

UNICEFによれば、全世界の13-15歳の子どものうち、1億5,000万人は体罰や暴力的ないじめを受けたことがある。ネパールにおいては、1-14歳までの子どものうち8割以上が、親・学校の教師・その他の大人から体罰を受けたことがある。貧富の差に関わらず、体罰を伴う子どもの教育が行われている。

体罰によるネガティブなインパクトは、学習障害、行動障害、精神疾患、自殺なども招き、自分だけではなく、パートナーや自分の子どもに対しても影響がある。母親が暴力を受けているのを見て育った子ども、直接暴力を受けた子どもは、パートナーや子どもに暴力を振るう可能性があり、特に女性は自分自身も暴力を受ける可能性もある。また、いじめに遭うと、子どもの学習障害や幸福度にネガティブな影響を与える。

ネパール政府は、2015年に制定した新憲法の子どもの権利に関する条文において、家庭やコミュニティにおける子どもに対する暴力禁止を、「教育法(2011年)の6回目の修正条項」において、教師の行動規範において生徒に対する精神的・身体的な暴力禁止、「子ども法(2018年8月改正)」において、家庭や学校・コミュニティにおける威厳の無い態度が発覚した場合は、子どもに対する身体的・精神的な処罰を暴力とみなすことが明記された。その他、ネパール教育科学技術省(MOEST)は、教師による体罰や生徒同士のいじめ対策のために、国内の全中学校に「投書箱」を設置し、女性教師1名をジェンダー担当に任命することを義務付けた。

 

◆全訳(一部意訳もあり、単語が揃っていない箇所もあります。)

(カトマンズ、2018年9月6日)ネパールの1ー14歳までの子どものうち8割以上が、暴力的なしつけを経験している。1ー2歳の間のようやく歩き始めた子どもたちの半数以上が、しつけされる過程で暴力を受けている。ほとんどが、養育者からの暴力である。このデータは、UNICEFが、世界中の子どもが様々な暴力に直面している事実を述べることで、グローバルなアクションを支えるデータになっている。

 

ネパールのほとんどの子どもは、両親や先生、育児を担う大人により、いくつかのタイプの暴力を受けている。裕福でも貧しくても、子どもには暴力的なしつけの影響があることを、統計データにより警鐘を鳴らす。

 

(暴力を受けた子どものうち、)7割の子どもが、精神的な攻撃性があり、5割以上の子どもは、一般的な身体的な罰を受け、そのうち14%はさらに激しい暴力的なしつけに直面している。激しい暴力は、子どもに対して広範囲・長期間にわたり、影響を与える。その影響としては、学習障害、行動障害、鬱も含まれる。例えば、子どもが受けた身体的な傷は、悲劇的な死を招くこともあった。

 

子ども時代のネガティブなインパクトにより、世代を超えた暴力のサイクルが永続する。自ら暴力を受けた経験を持つ少年や、彼らの母親が暴力に苦しんでいるのを見ていた少年は、大人になり、パートナーに対し暴力をふるいやすい。自ら暴力を受けた経験を持つ少女や母親が暴力に苦しんでいるのを見ていた少女は、大人になり、DVの被害者になったり、子どもが出来た時に子どもに暴力をふるいやすい。

 

「子どもを守ることは、平和な社会を築く基礎となる。しかし、8割の子どもたちが暴力的なしつけを経験し、それは外部からは見えないものであり、社会的慣習、文化的慣習だとして、黙認されている。ネパールの法律や政策が明確に体罰を禁止し、教師の行動規範が具体的に、生徒に対する身体的・精神的な暴力を禁止すべきである。私たちUNICEFは、この問題を国家的な課題と位置づけ、育児に関わる全ての人と共に、ポジティブなしつけに向けた方法を探し、次世代を誘導していく。」とUNICEFネパール事務所の副所長Rownak Khanは述べる。

 

毎日、様々なステージの子どもが、様々な環境(自宅、学校、コミュニティ、オンライン上)で様々な暴力を受けている。UNICEFの新しいグローバルレポートによれば、世界中の13~15歳の子どもの半分となる、1億5,000万人、学校の内外で同等同士(同級生から)の暴力を受けている。レポートによると、この数字は、昨年いじめを受けた子どもの数、昨年身体的な攻撃に関わった子どもの数を用いて計算している。同級生からの暴力は、世界中の若者を教育において、永続的なのテーマとなっている。裕福な国や貧困な国のどちらでも、子どもの学習や幸福度に影響を与える。ネパールでは、2015年の調査によると、13-15歳の子どものうち5割以上が、30日間のうち1日以上はいじめを経験している。4割近くが、1年の間に、1回以上は暴力を伴う喧嘩をした経験がある。

 

いじめを防止するため、ネパール政府は、オペレーションと法律の両面に関する重要なイニシアティブを実施している。教育科学技術省(MOEST)が、「投書箱」という学校ベースの通報メカニズムを確立した。これは、生徒が経験する教師による体罰や同級生からのいじめ等、あらゆる暴力を報告しやすくするためである。クレーム対応メカニズム(CRM)のガイドライン2073は、教育・人材開発センターにより発行され、国全体の中学校が女性の教師を1名ジェンダー担当として任命し、学校に投書箱の設置を義務付けた。

 

2015年に制定した新憲法の子どもの権利に関する第39条において、家族やコミュニティレベルで、子どもの虐待や子どもに対する暴力を禁止する厳しい条項を明記している。この条項では、「家庭や学校、その他の場所や環境で、子どもは、身体的、精神的、その他のいかなる形式の苦痛を受けてはならない」と明記されている。教育法(2011年)の6回目の修正条項として、教師の行動規範が追記された。具体的には、「教師は、生徒に身体的・精神的な苦痛を与えてはならない」と記された。直近では、2018年8月に、1992年の子ども法に取って代わる子どもに関する成文法の修正法が国会に承認された。そこには、「子どもの保護・教育・しつけとして、家庭や学校、その他の場所で、身体的・精神的な罰、つまり威厳の無い態度が存在した場合、子どもに対する暴力とみなされる。」と明記された。

 

これらのポジティブなイニシアティブが始まったことから、UNICEFネパール事務所では、この数ヶ月のうちに教師や親たちが、学校や家庭でもポジティブ・ディシプリンをどのようにしていけばいいか国全体の子どもや若者が様々なアイディアを発信することができるような場をもうける予定である。加えて、幅広いグローバルな運動の一環として、UNICEFは若者に、暴力をなくすために#ENDviolenceというタグをつけたメッセージを、学校・コミュニティのSNSにアップし、彼らがいかに一緒に活動し、学校の内外で暴力を撤廃するためにどんな解決策を使っているのか、共有することを依頼している。

 

(翻訳協力 鈴木真代)

 

Notes to Editors:

Learn more about UNICEF’s #ENDviolence global campaign here.

[i] Central Bureau of Statistics and UNICEF Nepal. Nepal Multiple Indicator Cluster Survey 2014

[ii] : Aryal KK, Bista B, Khadka BB, Pandey AR, Mehta R, Jha BK, Kann L, Riley LM, Yamakawa Y, Rani M, Agrawal N, Karki KB. Global School Based Student Health Survey Nepal, 2015. Kathmandu, Nepal: Nepal Health Research Council, 2017