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第16回カンボジア・スタディツアーを実施しました!

報告

2015年03月20日

 

第16回カンボジア・スタディツアーを実施しました!

2015年2月10日から16日の5泊7日で、スタディツアーを実施しました。今回は学生8名、社会人1名の合計9名の方にご参加いただきました。

1日目は、日本から空路でベトナム・ホーチミンへ、そして陸路をバスで移動し、カンボジアに入国しました。

2日目は、シーライツの活動地であるスバイリエン州のタナオ・コミューンを訪れ、人身売買や児童労働の被害に遭う危険が高い「出稼ぎ」や「物乞い」を防止するために、子どもたちが「子どもの権利」を学んだり、学んだ知識をほかの子どもへ広めたりしている活動を視察しました。

プレイロバ小学校での自己紹介の様子

午前に訪問したプレイロバ小学校の5、6年生のクラスでは、ピア・エデュケーター(子どもの代表)が、貧しい家の少年が一生懸命勉強を続け、おとなになり、夢をかなえたという劇を演じ、教育の大切さをほかの子どもたちに伝えていました。

小学校での集合写真

昼食は、コミュニティセンターの運営・管理を行う委員さんのお宅で、村の家庭料理をいただきました。雷魚の塩焼きや鴨(アヒル)肉の炒め物など、日本人には馴染みのない料理に最初は驚きましたが、美味しくいただきました。

カンボジア家庭料理の昼食

午後は、チャイルド・フレンドリー・スペース(図書室と子どものアクティビティルーム)を併設したコミュニティセンターで、ピア・エデュケーターを中心に集まった子どもたちから、啓発活動にかける思いや成果についての話を聞いたり、一緒にゲームをしたりして交流しました。

コミュニティセンターで子どもたちとゲームをして交流

3日目は、タナオ・コミューンのカエワット村の「子どもクラブ」を訪問しました。村の子どもは誰でも自由にこのクラブに参加できるので、みんなが集まる時には、大きい子どもが小さい子どもに「子どもの権利」を教えたりしていることや、共有の貯金箱に子どもたちがお小遣いを預ける「貯金活動」を通して、お金の管理や計画的な使い方を学んでいることなどを聞きました。

最後に、参加者が日本から持参した折り紙を子どもたちに配り、一緒に「キリン」を折りました。

できあがった折り紙の『キリン』

子どもクラブのメンバーの1人で鋭い質問をする少女チャンティちゃんの家庭も訪問し、家や学校での過ごし方についてインタビューしました。チャンティちゃんは学校での勉強と家事の手伝いで忙しく、「遊ぶ時間」がないということでしたが、家族からシーライツの活動を認めてもらっている様子がうかがえました。

タナオ・コミューンの訪問をふり返って、参加者からは「子どもたちが、自分自身の安全のため、地域の発展のため、将来のために今は何をするべきかを一生懸命に考えている姿が心に残った」「コミュニティセンターのチャイルド・フレンドリー・スペースのような場所が、自分の子どものときにもあったら違った自分になっていたかもしれない」という感想が寄せられました。

午後はプノンペンに移動し、内戦の歴史を学ぶためトゥールスレン博物館を見学しました。

4日目は、午前にパートナーNGOであるアフェシップ・フェア・ファッション(AFF)を訪問し、性的搾取の被害に遭った女性たちが、心身共に回復し、福利厚生が整った縫製所兼ショップで、洋服や雑貨などフェアトレード商品を制作・販売している様子を視察しました。女性の1人にインタビューしたところ、「仕事仲間やマネージャーに支えられながら、過去を乗り越えて前向きに生きることができて幸せです」「私の夢は日本に行って自分の体験を話すことです」、と答えてくれました。

参加者からは「自分の作ったものをお店で売っている時の嬉しそうな、自信に満ちた表情を見ることができてよかった」という感想が寄せられました。

アフェシップ・フェア・ファッションで働く女性にインタビュー

午後は、同じくパートナーNGOのフレンズ・インターナショナルを訪問し、ストリートチルドレンをはじめ、暴力や搾取の危険にさらされている子どもや若者を保護し、教育や職業訓練を行う活動や、地域のおとなたちに対して、子どもをそういった危険から守る力をつけてもらう「チャイルド・セーフ・ネットワーク」の活動などについて説明を受けました。そして、「チャイルド・セーフ・ネットワーク」の活動のメンバーであるトゥクトゥク(バイクタクシー)の運転手のノンさんから、運転手の仕事をするかたわら、これまでにどのように危険な目にあっている子どもたちを助けたのか、インタビューしました。
参加者からは「特に社会的な問題点、例えば違法に運営し子どもを利用する孤児院があることや、お金のかわりにご飯をあげる旅行者がいることなど、子どもたちの権利現状を知ることができてとても勉強になった」という感想が寄せられました。

トゥクトゥク運転手へのインタビュー

その後、中川香須美先生がジェンダー学を教えているパンニャサストラ大学のクラスの学生と交流しました。カンボジアの大学生が「女の子と児童労働」、「女性規範(カンボジアの慣習)」、「グローバリゼーションの処女性」、という3つのテーマについてディスカッションした内容を発表するのを聞き、それに対してツアー参加者が感想を述べたり日本との違いを紹介、意見交換したりしました。

参加者からは「カンボジア人の女性や結婚に対する考え方が日本と違うことにあらためて驚いた。」「とても刺激を受けた。もっとこちらが英語の能力を持って、対等にじっくりとディスカッションしてみたかった。」「活発に発表して意見を交換する勢いに日本とは違うノリのよさやフレンドシップを感じた。」という感想が寄せられました。

パンニャサストラ大学の学生の発表の様子

5日目は、プノンペンからシェムリアップへ昼食や休憩を含めて約7時間をかけてバスで移動しました。車窓からの景色や、ピースインツアーのガイドのポーキーさんのお話を楽しみながらの移動となりました。

6日目は、タ・プローム寺院、アンコール・ワット、アンコール・トムと3つの遺跡を見学し、深夜のフライトで、帰国となりました。

タ・プローム寺院で

帰国後、参加者から、「このツアーに参加していなければ、貧困の中に暮らす人の気持ちにも本当に気がつかずに暮らしていたはず。『知識だけ』から抜け出して、本当に人が幸せになれるように世界に関わって生きていきたい」、「自分の力不足なところ(時間の管理、人への気遣い、英語能力など)に気付くことができたのは、他の仲間と学ぶことをベースとするスタディツアーだったからこそだと思う。シーライツの活動や、カンボジアに関する知識を吸収することはもちろん、自分を成長させるための発見もできた。」等のメッセージをお寄せいただきました。

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。