お知らせ

【前編:第1回】「子どもと向き合う人間の安全保障」連続セミナー、大変盛況です!

報告

2016年06月6日

 

「子どもと向き合う人間の安全保障」連続セミナー、大変盛況です! ~第1回報告~

シーライツが東大と共催している「子どもと向き合う人間の安全保障」連続セミナーは第1回、第2回共に40名以上の方にお越しいただき、質疑応答の時間が足りないほど、ご好評をいただいております。

以下、簡単ではありますがセミナーの報告です。

◆第1回「子どもの権利ベース・アプローチの理論と実践」(4/27)

シーライツ代表理事・甲斐田万智子による4月27日の第1回セミナー「子どもの権利ベース・アプローチの理論と実践」では、人間の安全保障の観点から子どもの問題に取り組む上で、「子どもの視点」を取り入れていること、子どもをアクターの一人として捉えることの重要性が提起されました。

子どもの視点を取り入れた子どもの安全保障の実現のために、子どもの主体性やエンパワーメントを軸とする子どもの権利ベース・アプローチの理論が紹介され、その実践例としてシーライツのカンボジア・タナオコミューンにおける最新の活動事例が報告されました。

コメンテーターの佐藤安信先生からは、かつてカンボジア・UNTACの人権専門官として法整備支援にかかわっておられたご経験から、大人の権力が大きい地域社会において、子どもの権利の視点を取り入れていくことの難しさについてお話がありました。

主客逆転ともいうべき、子どもと大人の権力関係の入れ替わりがもたらす精神的な紛争とどのように向き合っていくかが大切であるとのご指摘とともに、シーライツの活動が当初は学校の先生や親の反対があったものの、徐々に地域社会の協力が得られてきている事実を評価していただきました。

質疑応答では、
1. 子どもを学校に通わせるようにと、親をどのようにして説得するのか。中学卒業後の子どもたちの進路、就職先はどうなっているのか。
2. 地域社会の大人たちに抵抗がある活動のオーナーシップを誰が取るのか。
3. ピア・エデュケーターの子どもたちが貧しい家庭の子どもたちのために募金活動をした事例に対して、貧しい子は劣等感を抱かないのか、子ども間の格差を生んでしまうのではないか。
といった質問があげられました。

甲斐田からは以下のとおり説明がありました。
1. 子どもだけではなく、子どもの権利の責務履行者である大人のエンパワーメントを同時に行う。長期的な視点で将来を考えることの大切さを伝え、教育の重要性を理解してもらう。
2. シーライツの活動はカンボジア人スタッフが担っており、タナオの村で育ったスタッフが村の子どもや大人と密にコミュニケーションをとっている。
3. 子ども同士で「助ける-助けられる」の関係を築き、みんなで協力していくことの重要性をわかってもらう。

最後の質問については、セミナー翌週のゼミでも議論になりました。

子どもが大人に指示されて募金活動を行ったのではなく、文房具を満足に買えない村の子ども達のために、自分たちでできることは何かと考えて主体的に行動したことに意義があり、貧しい子どもたちの「友達に助けてもらった」という経験は、今後災害時など何か困難な状況に陥った時にも思い出されるだろうという意見が出ました。

これまでのシーライツ企画と比べ、移民・難民や環境問題など、子どもに限らないさまざまな関心を持った学生が集まり、幅広い視点から議論をすることが出来ました。

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。