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【子どもの権利条約フォーラム2013分科会①】この夏カンボジアを訪れたユースとともに、子どもたちの悩みを分ち合うワークショップを開催しました

報告

2013年11月25日

 

【子どもの権利条約フォーラム2013分科会その①】この夏カンボジアを訪れたユースとともに、子どもたちの悩みを分ち合うワークショップを開催しました

11月16日、17日に東京で開催された「子どもの権利条約フォーラム2013」で、シーライツは分科会「カンボジアの子どもたちの悩みとアクション~この夏、見てきたユースから聞いてみよう」を開催しました。

今年の夏にシーライツ・ユース(大学生)はカンボジアを訪問し、日本では「考えられない」ような過酷な状況に子どもたちが置かれていることを知りました。小学校に行く年齢なのに無理やり親から働かされる子どもたち、夜遅くまで働くストリートチルドレン・・・。そんな中でも子どもたちが必死に自分たちの状況を変えようとしていました。今回の分科会は、現地で見聞きしたこと、感じたことなどを若者の視点で日本のみんなに伝えたい、特に日本の若い世代に知って欲しい、という想いから、ユースメンバーによって企画されました。そのためか、多くの大学生がこの分科会に参加してくれました。

最初に、カンボジアのことや子どもの権利についてのクイズを解きながらビンゴを目指す「ビンゴゲーム」を全員で行いました。3択なのですが、「子どもの権利条約は現在何ヵ国が批准していますか?」や「カンボジアの人びとがきれいな水にアクセスできる割合は次のうちどれですか?」など、難しい問題もあったため、自己紹介も兼ねて、わからない問題は参加者同士で相談しながら挑戦してもらいました。

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次に、シーライツ・ユースの大久保さんと橘田さんがカンボジアの児童労働の状況と現地の子どもたちが自分たちの状況を変えようとしている取組みについて発表しました。子どもたちは「家族が貧しいから」「子どもが家族のために働くのは当然」「親が教育の大切さを理解していない」など様々な理由から学校をやめて働きに出されたり自ら出ていきます。特に女の子は「女の子だから」というジェンダー(社会的性差別)によって、学校に通わせてもらえず家事労働をさせられたり、差別されるという報告もありました。

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ここで確認のために、子どもの権利条約で保障されている権利、例えば子どもは学校に通い、医療サービスを受けることができ、暴力や搾取から保護されることなどをイラストで解説した「Children’s and Young People’s Rights(子どもや若者の権利)」という動画を参加者に見てもらいました。

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そして、橘田さんがこういった子どもの権利が侵害されている状況を改善するためにカンボジアの45の団体が集まり組織したCRC(Coalition on the Rights of the Child)というネットワークの「Child Advocacy Network(CAN)」というプロジェクトを紹介しました。子どもたちが抱える問題を解決するために、子どもたち自身が活動の企画や運営を担当し、ほかの子どもたちに知識やアクションを広めていくピア・エジュケーションの手法を用いています。おとなたちはできるだけその活動を見守り、子どもたちが何に悩んでいるかを知り、子どもの視点に立って一緒に問題解決に取り組んでいる、ということでした。

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次のセッションでは、カンボジアの「貧困」と「ジェンダー」という視点から、児童労働や女子教育が改善されるために、私たちにどんなことができるか、参加者にグループディスカッションをしてもらいました。直接何か行動に移せなくても、子どもたちにどんな言葉をかけてあげることができるかをイメージして話合ってもらいました。各参加者がポストイットに自分の意見を書いて、それをグループの中で発表し合い、そのあと、各グループの代表が意見をまとめ、全体の前で発表しました。

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「貧困」の問題について参加者からは、「『貧しい』ということは子どもを働かせる理由にはならない、だからおとなたちに対する働きかけが必要なのでは?」「学校に通うことはその『貧困』から抜け出す方法の一つだと思う。だから学校に行ってほしい」「私たちが貧しさがなくなる世の中をつくらなければならない」「子どもが自由に意見を言える環境を作っていかなければならない」といった意見が挙げられました。
「ジェンダー」の問題については、「女の子、男の子と言って差別するのはおかしい、みんながそのことを分かり合うべき」「みんなが憧れるようなロールモデルを作ってみては?」「女の子だって夢がある。将来の夢を応援してあげたい」というような意見が出されました。

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代表理事の甲斐田は、「カンボジアの女の子たちは、親に『学校に行きたい』と主張するのは、『わがまま』だと思われるのではないか、『家が貧しいのに私が学校に行くなんて親に申し訳ない』と思ってしまっている」と補足しました。しかし、「村やコミュニティの中で女子差別があたりまえのようになっている地域で、首都のプノンペンや海外のNGOの外部の者が世界的な子どもの権利の基準(グローバルスタンダード)を伝えたり、女の子たちが孤立しないよう励ますことで、少しずつ意識を変えていける」と話しました。

そして、「ガール・エフェクト~”時計がすすむ”‐女の子が世界を変える」というセーブ・ザ・チルドレンやユニセフなどのネットワークによって制作された12歳の女の子の短編アニメーション動画を見てもらいました。12歳の女の子の身の周りには、人身売買や児童労働、エイズや児童婚などたくさんの危険が潜んでいるけれど、健康に育ち、教育を受け、成人して結婚し赤ちゃんを産み育てていくというプロセスが保障されれば、それが次の世代へと続いていき、世界をよりよく変えていける、という内容でした。

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最後に、シーライツがカンボジアの農村地域で子どもの権利を広める活動をしていることを紹介しました。子どもたちが、「貧しいから、女の子だから学校を諦めるのは仕方がない」ではなく、「貧しくても女の子であっても学校に通いたい」という意識の変化をもたらし、自分の権利を主張できるようにするのを目的としていることを甲斐田が紹介しました。

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子ども代表メンバーによって組織されたグループが、ピア・エジュケーション(子どもから子どもへ伝えていく手法)を通してメンバー以外の子どもたちをエンパワーメントしていくことの大切さ、地域や周りのおとなたちにも教育の大切さや農業・ライフスキルの知識・技術を身に付けてもらい、地域全体を良くしていく必要性を訴えました。
また、シーライツのカンボジアのパートナーNGO「フレンズ・インターナショナル」が実施している海外の旅行者から子どもたちを守る取り組みを紹介し、子どもを守っていくのは社会全体の課題、私たち一人一人の義務である、ということを参加者に呼びかけました。

【参加者からの感想】
■子どもの権利を啓発していくことは、大切だと感じました。カンボジアに限らず子どもの権利は日本でもあまり知られていません。まず、おとな、そして子どもに。また、子どもの意見表明ができやすい場を考えていくべきだと思いました。

■カンボジアの子どもの権利侵害の現状を知ることができて、良い経験となりました。また、旅行者としても子どもを守る方法があることを知り、海外旅行に行く際には注意して行動しないといけないと思いました。

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。