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子どもの権利条約批准20周年記念セミナー(第2回)を開催しました

報告

2014年06月23日

 

子どもの権利条約批准20周年記念セミナー(第2回)を開催しました

 2014年6月1日、子どもの権利批准20周年記念連続セミナー第2回目となる今回はワールド・ビジョン・ジャパンとシーライツによる共催で「カンボジアの子どもの人身取引―子どもの権利をどう活かせるか」を開催しました。10代の学生をはじめとした55名の方々にご参加いただきました。

 ワールド・ビジョン・ジャパンからは、アドボカシーオフィサーの中村敏久さんにカンボジアの子どもの権利や人身取引対策プロジェクトについて、シーライツからは代表理事の甲斐田が子どもの権利侵害とエンパワーメントについてそれぞれお話しいただき、グループディスカッションを交えながら「子どもの権利をどのように活かすか」という視点から考えを深めるセミナーとなりました。

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ワールド・ビジョン・ジャパンの中村敏久さん ©C-Rights

 中村さんからは1)カンボジアの人身取引について、2)Rights-Based Approach(権利ベースアプローチ、RBA)について、3)メコン拡大地域における人身取引地域プログラム(ETIP)の3つについてお話しいただきました。人身取引の最大の原因である貧困からカンボジアの人々が搾取されている現状、またRBAにおける子どもとおとなの考え方をお聞きして地域予防システムの必要性を知りました。カンボジアには、今回のセミナーに参加していただいた多くの学生と同じくらいの年齢の高校・大学生が主体となって政府へアドボカシーを行う活動をするユースクラブがあるそうです。ユースメンバーは学ぶことに熱心で、地域コミュニティーの強化を図り人身取引の減少に向けて取り組んでいるということでした。

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©C-Rights

 甲斐田代表からは、子どもとおとな、そして社会へのエンパワーメントを掲げ、スバイリエン州のタナオコミューンにおける人身取引及び児童労働防止プロジェクトを紹介しました。すべての子どもは権利を保障されていますが、子どもが権利を知るだけでは実現できません。子どもがおとなに主張する意思を強く持つためにはおとなが権利を知っておくことが必要です。そして、シーライツでは「どんな子どもでも意見を言えるんだ!」ということを子どもが幼いころから学ぶ場を提供しています。本来、国の仕事である「子どもを守る」ということは社会全体で取り組んでいかなくてはいけないことなのだとわかりました。

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グループディスカッションの様子 ©C-Rights

 出稼ぎに出てほしいと親から頼まれた時にカンボジアの少女は、権利を知っている場合と知らない場合で、どのような違いが生まれるのかということをテーマにグループでディスカッションを行いました。どのグループからも多くの意見が集まり、疑問を参加者全員で共有し中村さんと甲斐田代表には時間の許す限り質問に答えていただきました。いくつかのグループから「子どもが権利を知ることで、家族を助けるために働くのか自分の権利を主張するのか、といった子どもが抱えるには大きすぎる選択肢が増え、かえって戸惑ってしまうのではないか。」というような質問が挙がりました。それに対して、どのような状況にあっても一番に守られなければならないのは子どもなので、子どもが権利を主張できるようにならなくてはいけないし、主張した権利が実現できるような社会をつくりあげていくことが大切である、という回答がされました。

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グループディスカッションの様子 ©C-Rights

 子どもの権利条約12条に意見表明権があるように、主張することは子どものわがままではないのです。また、子どもクラブでそれを確認し合う取り組みもされています。
単に「子どもを働かせるな」というだけではなく、おとなが権利を知ることによって啓発活動が行えるようになります。

 最後には参加者全員でRed Card to Child Labor(児頭労働にレッドカード)と書かれたカードを掲げ、児童労働に反対するキャンペーンの写真撮影をしてセミナーを終えました。

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©C-Rights

 子どもには権利があります。条約は憲法と同じように執行されなくてはいけないのだということを、おとなが知る必要があります。権利が実現されない悪循環を断ち切る方法は子どもの権利を知ることから始まるのだと、第2回目のセミナーを通して考えさせられ、とても有意義な時間となりました。

Youth for Rights(シーライツ・ユース)メンバー 平野友菜(ひらのゆうな)

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。