お知らせ

東日本大震災から4年~求められる子どもたちの心の回復支援

報告

2015年08月10日

 

東日本大震災から4年~求められる子どもたちの心の回復支援

はじめまして。7月よりインターンとしてお世話になっております、八野井と申します。

7月3日、東日本大震災子ども支援ネットワークの第14回意見交換会に参加しましたので、報告させていただきます。

シーライツはこのネットワークの運営委員を務めています。
当日は朝から雨模様でしたが、衆議院議員会館には多くの人が集まり、「5年目の子ども支援を考える」をテーマに、被災地で活動するNGO/NPO、専門家、政府、国会議員の方々から多様な支援活動について意見が出されました。

まず、ネットワーク事務局長である東洋大学の森田明美教授から、5年目をむかえた子ども支援の現状と今後のあり方について報告がありました。東日本大震災から4年が経過し、被災地の子どもたちは、少しずつ自分の体験や復興・まちづくりへの思いを語り始めています。しかし、震災前からのさまざまな家庭環境や学校生活の影響もあり、自分の居場所を見つけられない子どもがまだたくさんいます。そうした「支えられ格差」が明らかになってきた中で、すべての子どもたちが安心して暮らせるような「子どもにやさしいまち」づくりが求められています。専門家のみならず、地域社会、家族が力を合わせて、復興のパートナーである子どもの声を聞き、居場所をつくること、また子どものSOSに対する効果的な救済措置の仕組みづくりなどが提案されました。

中学のときに被災し、今年関東の大学に進学した学生たちも訪れ、被災地の子どもの考えを語りました。学習支援によって自分の将来を考える機会が得られたこと、また放課後の学習支援が受験期の大きな支えになったことがあげられ、被災地の子どもと向き合うために、全国でそうした学習支援の場があればいいという声もありました。上京してから、南三陸町出身と明かすと周囲に必ず驚かれ、「初めて身近に被災者を感じた」「もっと話が聞きたい」と言われたことが嬉しかった、というエピソードが印象的でした。これからも自分の町について考え、どんどん発信していきたいという力強い意気込みに、復興支援のキーワードでもある、レジリエンス(=回復力)を感じました。

後半は子ども支援の総合的展開について具体的な活動の報告があり、人材育成と地域連携の必要性が強調されました。日本ユニセフ協会は子どもの権利に基づいた活動のできる人材(Child Rights Worker)の育成を、フリースクールを運営するTEDICは、子どもたちの学校・家庭以外の居場所の必要性、また学習支援の場を提供するだけでなく、不登校に対する訪問型支援など、それぞれの状況に合わせた支援の切り口を提案しました。広域にわたる県外避難者の多い福島県において、子ども・保護者の心のケアに取り組んでいるビーンズふくしまからは、長期化する避難生活の中で、子どもと保護者、特に母親の自己肯定感の喪失が深刻であり、保護者の不安が家庭へ二次的・三次的被害の発生を引き起こしてしまう現状が報告されました。

震災から4年が経ち、子ども支援の各プロジェクトの実施結果が明らかにしたのは、なかなか進まない「心の復興支援」の現状でした。特に周囲から認識されにくい子どものPTSDは深刻化しており、専門の心理療法家の絶対的人員不足が大きな問題となっています。一方、強いレジリエンスでもって、主体的に復興支援に取り組もうとする被災地の子どもたちがいるのも確かです。元気な子どもの姿は、地域の大人を元気にします。課題は多く残されていますが、今後の復興支援における子どもの活躍に期待したいと思った意見交換会でした。
(シーライツインターン 八野井めぐみ)

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。