お知らせ

ネパール現地NGO・CWIN:2ヶ月の大地震救援活動と復興に向けての成果

報告

2015年08月17日

 

ネパール現地NGO・CWIN:2ヶ月の大地震救援活動と復興に向けての成果

(CWIN On The Move: Relief and Recovery– 2-Month Impact
http://www.icdi.nl/uploads/nieuws/cwin_on_the_move_2_month_impact.docx)

4月25日に発生したネパールの大地震から4ヵ月がたとうとしています。
シーライツは地震発生後間もなく、被災した子どもや女性を支援するための募金を日本国内で呼びかけました。
その結果、皆さまから寄せられた約100万円の支援金を、長年、児童労働問題にかかわってきたネパールの現地NGO・CWIN(シーウィン)と人身売買の防止と被害者の保護に携わってきたNGO・マイティ・ネパールに送り、救援活動に役立ててもらうことができました。

現地のCWINから6月末に届いた救援活動のレポートを紹介させていただきます。

親をなくした子どもや貧困に陥った家族の子どもたちが、人身売買や児童労働の被害に遭うリスクは依然と高いままです。被災した家族や子どもたちが心身ともに回復し、安心して生活できるようになるためには、まだまだサポートが必要です。引き続き、皆さまからのご協力をお待ちしています。

(ネパール支援金について)http://www.c-rights.org/news/news2/news-c1/post-117.html

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NGO・CWIN(Child Workers in Nepal:ネパールの働く子どもたち)のコンサーンド・センターは、2015年4月25日に発生した大震災、および、5月12日に発生したマグニチュード7.3の地震によって被災した家族や子どもたちに対して、震災後の2ヶ月間、支援の努力を続けてきました。

CWINの救援活動

この期間、CWINは、食糧、防水シート、薬、子ども用特別パック一式、おもちゃセットを含む救援物資を、最も被害が大きかったネパールの14の郡の住民:15,000世帯、75,000人に対して配布しました。これらの被災地はカトマンズ、バクタプル、ラリトプル、ダーディン、ドラカ、ゴルカ、カスキ、カブレ、マクワンプル、ヌワコート、ラメチャープ、ラスワ、シンドゥリ、シンドゥ・パルチョーク郡です。CWINはこれらの地域で活動を続けることで大きな存在感を与えています。私たちは、子ども用パック一式とおもちゃセットを携えて11の郡の54,000人の子どもたちに直接支援を行いました。

尊厳ある救援
CWINは、米、レンズ豆、油、砂糖、麺類、インド米等の食糧、石鹸、浄水タブレットやそのほかの生活衛生用品をセットにした救援物資セットを15,000世帯、75,000人に提供しました。また、おもちゃ、文房具、クレヨン、パズル、ビスケット、歯磨きセット、パウダー、爪切りや子どもを保護するための電話相談サービス情報を含む子ども向け救援セットを11の郡の54,000人の子どもたちに提供し、震災後初期には防水シート、マットレス、毛布を15,800世帯に提供しました。さらに、CWINとスウェーデンのNGOのTUKIは4,000世帯を支援するために仮説シェルターをドラガ郡とダーディン郡に建設する予定です。

健康と医療支援
CWINは11郡の6,800人の子どもと成人向けにネパール小児科学会(以下、NEPAS)やドイツやアメリカから迎えたボランティア医師らと協力して25の保健衛生キャンプを運営しています。CWINは保健衛生キャンプにて診断された重病の子どもたちが、引き続き治療と手術を受けることができるように支援も行っています。また、発電機、水のタンク、薬や衣服の供給もカンチ小児科病院に対して行っています。さらに、毛布、食糧、おもちゃ、文房具を含む救援物資を、地震によって負傷し入院中の子どもたちに届けました。CWINは室内便器とともに浄水器をドラカ北部の8つの村落開発委員会(VDCs)に提供しました。

心理社会的サポート
NEPASとネパール保健省子ども保健局の協力を得て、CWINは災害時における子どもの心理社会的側面の健康に対する注意喚起を促すために、200,000部のリーフレットを両親・保護者向けに発行しました。また、CWINとネパール心理学研究所(以下、NIP)は被災し心理的トラウマを負った子ども向けに巡回型のカウンセリングキャンプを複数の病院や仮説シェルターにて設置しました。今のところ、CWINは87人のソーシャル・ワーカーやカウンセラーを心理社会的救急スタッフ(サイコ・ソーシャル・ファーストエイド 以下、PFA)として訓練し、彼らはヌワコート、ドラカ、カスキ、マクワンプル、シンドゥ・パルチョーク郡のような谷の内外における様々な地域で心理社会的サポート活動に従事しています。子ども相談ホットライン「1098」は引き続きホットラインに電話をかけてくる子どもや若者向けに電話相談を提供しています。

子どもの保護
子どもが電話で相談できるチャイルドライン「1098」を通じて、CWINは震災で生き延び、危険にさらされている子どもたち約5,000人に対して様々な緊急・人道支援サービスを提供することができました。震災後2ヶ月の間に、チャイルドラインには14,000件以上の電話がかかってきています。。このチャイルドラインによって、被災し、家族とともに首都カトマンズの異なる地域で暮らさざるをえない子どもたちの状況を把握することもできました。また、CWINSで検討後、教育を含む必要な支援も提供しました。さらに、このチャイルドラインによって、人身取引のブローカーと疑われる者によって、首都カトマンズまで連れてこられた子どもたちを救出し、離ればなれになった家族と引き合わせることもできました。子どもの保護と子どもの人身取引に対する意識の向上のためにCWINはネパール警察の女性と子どもサービス局と緊密に連携しています。カトマンズ、マクワンプル、カスキ、モラン、バンケ、カイラリにおける子ども保護デスクの運営に加え、CWINは被災地域のカブレ、シンドゥ・パルチョーク、ドルカ郡にて地域子ども保護デスクを開始し、虐待と搾取に遭いやすい子どもたちを守るための活動をしています。同様に、カトマンズ中央バスターミナル内でCWINが運営しているコンタクトセンターは人身取引と危険な移住防止のために活動しています。

チャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)とテンポラリー・ラーニング・センター(TLCs
CWINは35のチャイルド・フレンドリー・スペースと子ども保護相談デスクをカチプール、カトマンズ、ドラカ郡に開設しました。CWIN/RDTA TUKIは160のテンポラリー・ラーニング・センター(TLCs)ドラカ、マクワンプル、シンドゥ・パルチョーク、カブレ、カトマンズ郡に建設中であり、これらのうち数施設は運営を開始しています。これらのTLCsをより子どもたちにとって心地よい場所とすべく、510セットの娯楽セットと学習セットを配布しました。

災害時ネットワーキングと調整
CWINは、災害ボランティアを結集するため「ネパール災害ボランティア調整ネットワーク」と名づけた、14の組織間の緩やかなネットワークを開始しました。このネットワークはタプレジュン郡の洪水と地すべりの被害者のニーズに共同して応える取り組みを行ってきました。またこのネットワークによって、850人の若いボランティアがこの一ヶ月、CWINとともに子どもたちや家族に無私無欲で救済物資を届けてきました。

パートナー / 支援者
この緊急支援の必要な時期にあって、CWINによる子どもたちや家族を支援する活動は、国際的なパートナーである、ノルウェーのFORUT、多くの支援について、インドのCINI、日本のシーライツ(C-Rights)、ネパールのインド大使館、ノルウェーのセリョルド高校、イタリアのCESVI、コミックリリーフ、オランダのICDI、ベルギーのQuinoa/Salaai、イタリアのGRT、ピースボート災害救助ボランティアセンター(PBV)、ルクセンブルクのECPAT、イタリアのWe-world、アシュモア財団、ユナイテッドワールドカレッジ東南アジア校、そして様々な国からの個人の支持者の惜しみない支援と団結によって可能となっています。

最後に、CWINは復興過程においてコミュニティーのレベルにおいて創造的な取り組みを発展させるための戦略立案を開始しました。私たちは被災した家族や子どもたちが尊厳ある生活を取り戻せるように地域の関係者、地域住民そして、子どもたち自身とともに協働して活動に取り組んでいます。私たちは、被災者たちが外からの援助に長期的に依存しがちになることを避けるためにも、女性に焦点を当てた生計プログラムといった、コミュニティーに力を与える取り組みを発展させていきたいと考えています。また、私たちは、現段階では、子どもたちの健康と栄養状態、メンタルヘルス、教育及び一時避難所の建設に焦点をあてていきたいと考えています。この復興段階における取り組みは困難な課題ではありますが、CWINは今まさに必要とされていることに貢献していきたいと考えています。復興と発展に同時に取り組むのは更なる挑戦となるでしょう。

CWINは、被災地域の子どもたちと家族のために貢献し続け、希望に満ち回復力を持ち続けるよう励まし続けようと思っています。

(翻訳:櫻井智子 甲斐田万智子 2015/08/05)

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。