お知らせ

カンボジア駐在員・一時帰国報告会を開催しました

報告

2013年05月25日

 

カンボジア駐在員・一時帰国報告会を開催しました

 5月11日に、カンボジア駐在員・上田美紀によるカンボジア・子ども支援プロジェクトの一時帰国報告会を開催しました。高校生、大学生、企業にお勤めの方、学校・大学で教鞭をとっている方、各分野の専門家の方など、29名にご参加いただきました。

 カンボジアに関心があり、実際にカンボジアに行ったことのある方が多かったのですが、シーライツの事業地・スバイリエン州のことはあまり知られておらず、上田は写真とデータを使って、事業地のタナオコミューン(集合村)がいかに僻地に位置し、行政から見放され、情報にアクセスできない状況にあるか、や、効率の悪い農業を営むことくらいしか村で生計をたてる手段がなく、慢性的な貧困から、多くの村人が子どもを連れだってベトナムに違法な出稼ぎ・物乞いに行ってしまう問題、それにともない子どもが学校を辞めざるをえない問題を説明しました。

 また、最近行われた、タナオコミューンの1300世帯の全戸調査のインタビューの中で、実際に直面した深刻な家庭内暴力(DV)のケースや、まるで物乞いをする目的で次々に赤ちゃんを産んでいると思われるような家族のケースを取り上げました。

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 そして、シーライツがこのような児童労働や子どもの人身売買を防止するために行っている村での具体的な活動と、これまでの活動の成果を次のように紹介しました。

「子どもから子どもへと、物乞いや出稼ぎにともなう危険や子どもの権利について伝えていく啓発活動を継続し、子どもたちが自分の意見を自由にいえるようなトレーニングセッションを取り入れた結果、子どもたちの考える力が養われ、自分たちで問題分析できるようになりました。

家族の収入を安定させるために、農業技術やライフスキルを指導する生計向上支援活動では、村人たちのリーダーとなる優秀なキーファーマー(農民代表)が育ち、彼らが中期的な目標や計画を考えられるようになったり、実際に『貯蓄組合』の活動が自発的に行われるようになりました。」

 最後に、シーライツはこれからも、村人の日々の営みに密着した活動、より村人の目線に立って行う活動を大切に、村人たちの生活、未来を一番に考えて、村人たちと一緒に地域全体を良くしていきたいと、想いを語りました。

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参加者の感想をご紹介します。

◆上田さんが一歩一歩、とてもパワフルに目的に向かって活動されている様子に感銘を受けました。「(どんなに道路状況が悪くても)行くといったら必ず行く」、「やるといったら必ずやる」と何度もおっしゃっていたのが印象に残りました。


◆いろいろな文献を読む中で、私たち日本人や先進国の国が物を与えることやお金をあげることも支援の一つではあるけれど、そこに住む人々の意識や理解が得られなければ、根本的な解決にはならないことを学びました。そのような支援を目指しているシーライツの活動のお話を聞けたことは本当に貴重な時間でしたし、とても興味を持ちました。

◆住民のストーリー(良いのも、悪いのも含めて)をたくさん聴けたこと、数字やレポートに記載された文字だけではわからない味わいある開発援助のストーリーが聴けてよかったです。

◆私もカンボジアを訪れたことがあるので、地域によって様々な違いがあることを実感します。課題が複雑にからみ合う中で、住民を中心として解決に取り組もうとしている活動が印象的でした。

◆子どもの権利が守られるためには「生計が良くなること」と「意識が高まること」の両方が必要だという信念にもとづき、困難な活動を地道にしていて素晴らしいな、と敬服しました。人間の行動を変えることは難しいですが、農家の人たちの今後の活動を楽しみにしています。

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今回の報告会を共催してくださり、会場のご提供や運営にご協力くださった一般財団法人大竹財団様に、この場をお借りしてお礼申し上げます。

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。