お知らせ

【ネパール大地震緊急支援】ネパール、先の見えない運命からの脱出

報告

2015年10月13日

 

【ネパール大地震緊急支援】ネパール、先の見えない運命からの脱出

シーライツはネパール大地震で被災した子どもや女性たちに二つのNGOを通して支援活動を行っています。その1つのNGO・マイティ・ネパールが人身売買から救出した少女の記事がユニセフのサイトに掲載されましたので、ボランティアメンバーに翻訳してもらいました。
ネパールの復興にはまだまだ時間がかかります。シーライツは来年3月31日まで支援を続けます。人身売買される少女を1人でも救出するためにご支援をお願いいたします。

ネパール大地震緊急支援ご協力のお願いはこちらをご覧ください

http://www.c-rights.org/news/news2/news-c1/post-117.html

ネパール 先の見えない運命からの脱出
In Nepal, escaping an uncertain fate

By Naresh Newar

出典:http://www.unicef.org/infobycountry/nepal_82661.html

翻訳:橘田 美優(シーライツ・ファンドレイジングアシスタント)
シーライツ事務局

インドに連れて行かれようとしていたところを国境で救出されたネパール人の少女。4月25日の地震以降、人身売買から助け出されるケースが数百にのぼっている。

インドに売られそうになった少女サパナ

【写真】15歳のサパナは、4月25日の地震後、ある男に仕事を紹介すると持ちかけられインドに連れて行かれるところだった。国境で人身売買防止活動を行う現地のNGOが彼女を救出した。 (c)UNICEF

「あの日のことは決して忘れません。地震後に絶望的な気持ちになり、とんでもない過ちをおかすところでした」と彼女は言う。
サパナは家族を支えるために13歳でマクワンプール県のチャティワン村にある学校をやめ、130キロ離れたカトマンズのカーペット工場で働いていた。

工場での労働条件は残酷で、サパナは朝の4時から夜遅くまで1日16時間も働かされていた。疲れて仕事中に眠ってしまうと、雇い主から、目にチリパウダーを擦り付けられて起こされるなど、残酷な扱いを受けていた。

サパナは、どうしても工場から逃げ出したいと思っていた。そして工場から逃げ出したかったのは彼女一人ではなかった。多くの女性が貧しい家族を支えるために工場で働いていたが、工場の警備員は厳しく彼女たちを監視していたため、逃げることはできなかった。

きっかけ

4月25日にネパールを襲った地震は壊滅的で、数千人の命を奪い、さらに多く人が家を失い、たくさんの助けを必要としていた。
しかし、すでに絶望的な状況にあったサパナと彼女の同僚は、この地震を「チャンス」ととらえた。工場の建物が崩壊し、従業員の女性たちは近くのテントキャンプに避難させられていたので、脱出は容易に思えた。

そんなとき、ある男がサパナとその18歳の同僚に近づき、力を貸してやると言われため、2人はじっくり考えようとしなかった。男は2人の信頼を得ると、ネパールとインドの国境にあるバンケ県の都市ネパールガンジに仕事があるともちかけてきた。そこは地震の心配がなく、ホテルでの仕事があると話したのである。

しかし、カトマンズの約500キロ南にあるネパールガンジ近くの国境に到着したとき、サパナはパニックになった。ユニセフ・ネパールのパートナーであるNGO・マイティネパールの元で国境監視を続けていたチームは、サパナの緊張した表情に気がついた。そのため、彼女たちはマイティ・ネパールに保護され、避難所に滞在できている。

サパナは、それまで働いていた工場に関する情報を警察に提供し、警察は、そこで働いていた未成年の少女たちを救出した。
彼女はマイティ・ネパールの避難所で窓の外を見つめて言う、「もし、私たちが国境を越えていたら、どんなことになっていたかと考えると、恐ろしいです。私たちは罠にかかるところでした。しかし、少なくとも今私と友だちは、安全なところにいられることを考えると嬉しいです。」

チームの取り組み

4月25日の地震以来、マイティ・ネパールはネパールとインドの国境に沿いで、395人の少女や女性の人身売買を食い止めることができた。そのうちの約半分は未成年の少女たちだった。

マイティ・ネパールの代表・ビスウォ・カドカ氏は「私たちはユニセフの助けを借りて、12の戦略的に重要なエリアで国境監視活動を拡大しています。」と述べている。

重要なのは、ユニセフからのサポートを受けて、マイティ・ネパールは政府の子ども保護機関、警察、子どもの保護の分野で活動する組織とのネットワークを強化していることだ。

カドカ氏は
「様々なレベルにおいて、我々とユニセフはうまく連携しており、互いに多くのことを学んでいます。」と述べている。

新しい生活

サパナはマイティ・ネパールの支援を通じて職業訓練を開始することになっている。彼女は経済的に自立するために美容師として働くことを強く希望している。
今、サパナが心配しているのは、村に残っている彼女の10歳になる妹のことだ。

「妹には私と同じ運命をたどらないでほしいと思っています。」とサパナは言う。「私は父のせいでいつも自分は価値がない人間だと感じていました。そのために学校をやめ、お金を稼ぎに行くという選択をすることで自分の価値を父に示したいと思ったのです。どうしたら妹を私と同じような境遇から救えるか考えています。」

サパナは今、自分が危険から守られていること、そして、自分を救出してくれたマイティ・ネパールの尽力に心から感謝している。

彼女は地震が起きたことに感謝している数少ない人間の一人である。

「地震が起こらなかったら、私はあの苦しい仕事から逃げることはできなかったでしょう。」と彼女は話している。

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。