プロジェクト

子どもの権利促進事業

事業名称カンボジア・スバイリエン州コンポンロー郡タナオ・コミューンにおける子どもの権利促進プロジェクト
事業期間2017年4月~2020年3月
パートナー団体CCPCR(The Cambodian Center for Protection of Children's Rights)
CCPCRについて(日本語 PDF 138KB)
CCPCRのWEBサイト(英語)
事業対象地域カンボジア / スバイリエン州コンポンロー郡タナオ・コミューン
※「コミューン」は集合村
事業の背景
事業の目的
シーライツの取り組み

事業の背景

ベトナムでの「物乞い」から脱却し、子どもを守ることができるよりよい地域づくりへ

(2012年4月~2017年3月 ベトナムへの出稼ぎによる子どもの人身売買及び児童労働防止事業実施)

スバイリエン州コンポンロー郡タナオ・コミューンでは、カンボジアの南東の端・ベトナムとの国境に隣接する貧しい農村地帯です。道路や電気などのインフラ整備も不十分で、これといった産業もなく、村に留まり農業だけで生計を立てるのは困難なことから、子どもを伴って隣国のベトナムに違法な出稼ぎに出ていく世帯があとをたちませんでした。

この地域からベトナムへ違法入国・滞在をして拘束され、強制送還になるおとなや子どもの人数がとても多いことから、シーライツは地域のおとなを対象にした生計向上活動と、子どもを中心に人身売買や児童労働の危険・子どもの権利を伝える啓発活動を実施しました。

活動の結果、2014年には地域住民が農業を通じて生計を安定させることをめざして農業組合を結成しました。また同年、日本の支援者からの資金援助により図書室と多目的スペースを兼ね備えた「チャイルド・フレンドリー・スペース(以下CFS)」を建設。

それ以来、CFSは子どもたちにとって重要な学びと交流の場、そして居場所として使われています。子どもたちは、そこで知識や自信を向上させただけでなく、お互いに学び合い・助け合う姿勢も身につけ、その子どもたちの変化は保護者や地域行政にも大きなインパクトを与えています。

深刻な子どもへの暴力や児童労働

私たちが啓発活動を続けた影響に加えて、2013年ごろから国境沿いの経済特区に多くの多国籍企業が進出し、雇用が創出されたこともあり、ベトナムへの子どもの出稼ぎは大幅に減少しました。

一方で、親が昼間からお酒を飲み子どもへの体罰を容認する、小・中学生が学校を中退し、国境付近のカジノや経済特区の工場、建設現場へ出稼ぎに出ていくなど、子どもの権利侵害は引き続き起きています。親が教育の重要性を理解していない現状や、子どもも一家の稼ぎ手であるとする考え方が根深いことが大きな原因と考えられます。

このような子どもたちは、家族や友だちに囲まれて子どもらしく健やかに成長する機会や最低限の教育を受ける機会を失ったままおとなになります。十分な教育を受けていないことで、おとなになっても良い仕事に就けず、次世代の貧困の連鎖につながっています。

事業の目的

・子どもの権利が守られる社会づくりの一環として、地域行政・おとなへのはたらきかけを強化する

・パートナーNGOと協働し、より円滑で効果的な事業実施と子ども主体の事業の持続性を高める基盤を子どもたちとともにつくる

・事業終了時に、本事業の各活動を地域住民組織が担えるよう、自立に向けた働きかけを行う

シーライツの取り組み

啓発活動

ピア・エデュケーション

シーライツとパートナーNGOが、学校や地域を拠点として活動する児童・生徒の代表(以下「ピア・エデュケーター」)に対して、子どもの権利、違法な出稼ぎ・児童労働・人身売買の危険について啓発活動を行う。そして、ピア・エデュケーターは、学んだ知識を子どもから子どもへと伝え、活動を広める。 ピア・エデュケーターの参加のもと、ピア・エデュケーターの役割の文書化、研修のカリキュラムやマニュアル作りをすすめる。

子どもクラブ

各村を拠点に活動する子どもたちのグループ(以下「子どもクラブ」)を結成し、地域の子ども同士が助け合い、よりよい地域づくりをする活動をシーライツとパートナーNGOがサポートする。

子どもたちの参加のもと、子どもクラブの活動マニュアル作りをすすめる。

地域行政・地域住民

シーライツとパートナーNGOが、郡やコミューン、村の行政のメンバーや保護者へ、「子どもの権利」、および、権利の責務履行者の役割について啓発を行う。

図書室・アクティビティルームの運営

・地域住民が組織した運営管理委員会とシーライツが共同で、コミュニティ・センターの『チャイルド・フレンドリー・スペース』(図書室とアクティビティルーム)を管理・運営する。

・チャイルド・フレンドリー・スペースにおいて、学校に通っていない(または、やめてしまった)子どもを含め、地域の子どもたちが本を借りて読んだり、自由に学べる環境を提供する。

・チャイルド・フレンドリー・スペースにおいて、ピア・エデュケーターたちが、自分たちの活動について計画したり、進捗を確認したり、振り返りを行ったりする。

・子どもたち、運営管理委員会メンバーの参加のもと、運営マニュアルづくりをすすめる。

活動報告「カンボジアだより」を読む

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。