シーライツ プロジェクト

子どもの人身売買・児童労働防止ネットワークづくりと収入向上

事業名称 子どもの人身売買・児童労働防止ネットワークづくりと収入向上プロジェクト
事業期間 2004年~2006年カンボジア・プレイベン州
2006年~2011年カンボジア・スバイリエン州
事業対象地域 HCC (HEALTHCARE CENTER FOR CHILDREN)/子どものためのヘルスケアセンター

児童労働と人身売買のリスクが高い地域 において、子どもの代表、地域のキーパーソンからなる『人身売買防止ネットワーク』を組織し、子どもたち自身の手で子どもの権利、人身売買の危険について意識啓発を行うと同時に、リスクの高い子どもたちを収入向上プログラムと奨学金プログラムによって、人身売買の危険から守ることを目的として実施しました。

HCCについて

1998 年に設立されたNGO。カンボジアの弱い立場に置かれた子どもと女性が教育を受け、スキルを身につけ、雇用機会が得られるようにすることで、搾取・虐待・人身売買から身を守ることができるようよう、個人と地域開発を支援しています。ネットワークの形成、啓発活動、通学支援、保健教育、地域開発などの防止活動と、シェルターの運営、ノンフォーマル教育や職業訓練の実施、社会復帰の支援などの保護活動を主に行っています。

HCCのWEBサイト

活動実績

プレイベン州コムチャイミア郡の3つのコミューン(集合村)

子どもの人身売買・児童労働防止のために、小・中学校、高校の子どもたち10名程度をメンバーとして、学校単位のネットワーク(SBPN = School Based Prevention Network)を14校(参加人数165名)で組織しました。
研修トレーナーが子どもの権利や児童労働・出稼ぎなどの危険性などについてトレーニングし、以後メンバーたちが中心となって他の生徒・児童にも啓発活動を行いました。

同時に同地域のキーパーソン(村長、僧侶、学校の先生など)を対象に同様の研修を行い、おとなたちが意識啓発活動を行うネットワーク(CBPN = Community Based Prevention Network)を3つのコミューン(参加人数210名)で組織しました。
人身売買業者のだましの手口や、子どもを出稼ぎにやらずに教育を受けさせることの大切さを理解するなど、地域全体で子どもを守る体制づくりを行いました。

同地域の中学・高校に通う女子生徒の家庭で、人身売買に巻き込まれやすい状況にある10世帯で相互扶助グループを結成し、牛(8世帯)や豚(2世帯)を貸し出したり(※)、家畜飼育技術指導や貯蓄活動を支援しました。

(※)お金の代わりに家畜(雌)を貸し付け、種付けして産まれた1頭目の家畜はHCCに、2頭目はその家族に、そして最初に貸し出した家畜をHCCに返すという仕組み

スバイリエン州チャントリア郡・コンポンロー郡・バベット市の11のコミューン(集合村)

上記と同じ、SBPNを40校(参加人数486名)で、CBPN(参加人数278名)を11のコミューンで組織しました。
子どもの権利、人身売買、児童労働などについて研修を受けたネットワークメンバーは、学校や地域で啓発活動を行いました。

子どもが人身取引・児童労働の被害にあうリスクが高い貧困家庭の中で、特に就学年齢にある女の子がいるが通学をさせるのが困難な家庭を選定し、321世帯に毎月10kgの米と、230世帯に学用品セットを奨学金として支給しました。

生計向上支援では、子どもが人身取引・児童労働の被害にあうリスクが高い貧困家庭を選定し、村単位で相互扶助グループ(SHG = Self Help Group)を9つ(計105世帯)結成しました。
相互扶助グループでは、牛の貸出(※)、農業技術の研修、貯蓄組合の運営等の活動を行いました。

そのほか、井戸の建設(13基)、ポンプ支給(6基)、トイレ建設(8基)なども行いました。

成果

・地域リーダーが啓発活動を行うことで、村人が耳を傾け、ある程度の親の理解も深まり、子どもたち自身が啓発活動の担い手となることで、人身取引と児童労働の防止につながりました。

・生計向上支援では、栽培した野菜を販売したり、積み立てた貯蓄を学用品や食糧調達、または通院のために利用し、高利貸しから借金をしなくなったりすることで、貧困が軽減されました。

・通学支援を受けた少女たちの90%以上が学校に通い続けることができ、人身取引と児童労働防止につながりました。

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。